ハングマン

アメリカ 2017
監督 ジョニー・マーティン
脚本 マイケル・ケイシー、チャールズ・ハッティンガー

ハングマン

大枠でバディもの、すでに引退した老刑事と熱血漢の現役刑事二人組が難事件解決に挑む刑事ドラマと言っていいでしょう。

まあ、キャラ立てはそれなりに上手かな、と思ったんです。

いかにもな人物設定ではありますが、主演のアル・パチーノ演じるレイ・アーチャーは「彼がやるならこのタイプの刑事だろうな」と思えるものでしたし、カール・アーバンが演じるウィルも、心の奥底に抱えた闇が単なる相棒の分を超えて、強い存在感をアピールしてた。

それだけで最後まで見れる、というのはあったんですよ。

ただね、それを足がかりにしたとしてもやはりシナリオ、あまりにも意外性がなくて。

首を吊られ、胸にアルファベットが刻まれた死体が連続して見つかる、という導入部からして「はいはい、シリアルキラーですね、レイの過去なんかも関係してるみたいね。で?」って感じなんですよね。

もうちょっと「なんだこれ?どういうこと?」と見るものをひきつけるアイディアをひねりだせなかったものか、と。

80~90年代のジャーロじゃねえんだから、今どき「ハングマン」じゃあ、せいぜいテレビドラマで1時間が限界ですよ。

少なくとも映画のネタじゃない。

やっぱりこれってね、センセーショナルでエキセントリックな路線を意識してるわけですよね、なんせ連続首吊り死体なわけだから。

制作陣はプロットの段階で気づかなきゃいけない。

「いやこれ、なにもショッキングじゃないし、セブン(1995)ぐらいまでさかのぼっても全然負けてる気がするんだけど・・・」と、誰か進言しろよ、って話で。

オチも無理やり泣かせにかかってきててほんといただけない。

レイの顛末をなぜあんな風にしなきゃならなかったのか、どう考えても安直な山場づくり以外のなにものでもないですよね。

そりゃね、久しぶりにアル・パチーノの刑事役が拝めた喜びはありますよ、でもそれが結果的に凡庸なスター映画でしかなかったのなら、たとえファンと言えどDearダニー 君へのうた(2015)でもう十分、ってなっちゃいますよ。

キャラクターは悪くなかっただけに残念。

連続殺人事件を題材としたのが敗因、といったところでしょうか。

引退した元刑事を主役に据えるなら、若者にはまだまだ負けてないハッスルじじいをイージーに大暴れさせるんじゃなく、もっと別の路線もあったのでは、と思う次第。

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