スペイン 2016
監督 ロドリゴ・ソロゴイェン
脚本 ロドリゴ・ソロゴイェン、イサベル・ペーニャ
マドリードで発生した連続老女殺害事件を追う、二人の刑事を描いたサスペンス。
おおむねバディもの、もしくは刑事ものと考えていいように思います。
被害者側、犯人側のドラマに大きく比重をかけることなく、すべては刑事側の視点で物語は綴られていきますし。
タイトルから想像するなら、多分事件の特異性の背後に潜むものを暴くミステリなんだろうなあ、と早合点してしまいそうですが、どちらかというと謎解きのカタルシスは希薄。
途中であっさり犯人が誰なのかを明かしてしまいますし。
刑事自身に焦点を当てた人間ドラマ、と言ったほうがいいかもしれません。
吃音症だがクソ真面目で有能な刑事と、暴走気味ですぐに手が出るはみ出し刑事のコンビをじっくり描きたかった、というのが監督の意図だったのでは、と。
そういう意味ではTVシリーズの劇場版、みたいな感触もあります。
この映画以前に、何作か同コンビの映像作品が存在するんじゃないの?みたいな。
まあ、特捜部Qとか好きなんで、これはこれで別に悪くはないかな、と思うんですが、欲を言うなら犯人の連続殺人に至った動機とか、その半生とか、もうちょっと尺を割いて語ってくれてもよかったんじゃないの?と思ったりはします。
おぼろげにしか犯人の異常性が伝わってこないんですよね。
なのでどこかスッキリしないものが残る。
エンディングも一切の説明がないんでちょっとわかりにくかったり。
なぜ普通に逮捕しないの?なぜ刑事は一人であんな場所にいたの?と頭の中をはてなマークが飛び交う始末。
観客をミスリードする手口や、不穏な演出、キャラ作りのうまさ等、質は高いと思うんですが、肝心の終盤でいきなり突き放されたような印象をうける一作でしたね。
退屈はしないと思うんですが、刑事ドラマ好き以外の人たちの反応はあんまり芳しくないんじゃあ・・と思ったりもしました。