零落

零落

2017年初出 浅野いにお
小学館ビッグコミックス

ああ、浅野いにお、疲れてるなあ、とつくづく思いましたね。

まあ、自叙伝的内容と捉えていいんでしょうけど、はっきりいってこんなこと描かなくていいし、漫画化しなくていいと私は考えるわけです。

でも本人は描かなきゃ進めなかったみたいで。

そこに作者の抱える病巣がある。

シンプルに問題をあぶり出してしまうなら「漫画が好きで漫画家になったけど、自分が描きたい漫画を描いてるだけじゃ食っていけない」ってことだと思うんですよ。

好きであるがゆえ職業として割り切れない苦悩を、もう自分でごまかしきれなくなった、ってことなんでしょう、きっと。

まあ、そりゃ30代半ばを超えていつまでも学園モノなんて描いちゃあいられないとは思います。

でも、それを「だから嘘っぱちなんだ」とさらけ出されてもですね、そんなのは自分の中に抱えといてくれ、って話であって。

俺はこんなに糞なんだ、って切々と訴えられてもですね、知らんがな、としか言いようがなくて。

そもそもね、作品と作者のパーソナリティをリンクさせるような真似をするのはおかしい、って、普通に大人の読者ならわかってると思うんですよ。

それをわからぬ若輩のための申し開きみたいになっちゃってる段階で、過去作を読んでくれたありし日のティーン達への身勝手な惜別でしかないですよね、これ。

つまりは読者不在。

こういうのは漫画家引退するときにやるか、同人誌でやってくれ、と思いますね。

初めて「素晴らしい世界」を読んだとき、その感性の青さにおっさんはついていけない、と思ったものですが、そのまま作者は歳を重ねて若さをこじらせてしまったように私は感じてます。

好きとか嫌いとか以前に、二度と手にとることのない一冊ですね。

だから何?が正直な感想。

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