THAT’S 荒神

1982~96年初出 板橋しゅうほう
大都社

表題作を含めた4編で構成された短編集。

「That’s荒神」は少年キングに連載された作品らしいんですが、2回分の掲載だけで何故か終わってます。

もちろん未完。

打ちきりなのか作者の事情なのかわかりませんが、呪術的世界観を近未来に再現した好内容で、ああ、もったいない、の一言。

爆雷虫、仰天虫等のネーミングもいいし、それを扱う虫使い等、キャラ立ても秀逸。

らしいSFアクションで、続いてくれてたらなあ、とつくづく思います。

「怪天然」は作者にしては珍しいSFショートショート。

ああでもこういうのも描けるんだ、と感心。

「ザ・ムライ」は20世紀になっても鎖国を解かなかった日本が舞台のSFチャンバラアクション。

これがまたよくできた内容で、なぜこれが連載に至らなかったのかとほんと思う。

95年という時代が悪かったんでしょうかね。

鎖国を解かなかった日本の町の風景も独創性豊かで申し分なし。

「深海のラムルート」は0年代以降SF作家としての活躍が目覚ましい山本弘が原作でビックリ。

でも実はこの短編が一番つまらなかったりする。

多くのアイディアを持ちながらそれを生かす場所がなかったのだなあ・・・とファンとしてはなにかと悔しい限りですね。

充実の一冊だと思います。

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