溶解教室

2013年初出 伊藤潤二
秋田書店少年チャンピオンコミックスエキストラもっと!

一話完結形式の連作長編で、どっちかというとホラーギャグ。

作者の場合、長編、というだけで一抹の不安がよぎったりもするんですが、胸騒ぎは悪い意味で裏切りませんでしたね。

土下座をすることで相手を溶かしてしまう兄と、溶けた人間が大好物な妹が周りの人間を次々と犠牲にしていく物語なんですが、まあ、単純に長編向きのネタじゃないな、と。

そもそもプロット自体が割とルーズなんです。

なぜ土下座で溶けるの?という説明そのものがほとんど妄想に近いような理由付けしかできてなくて。

16ページぐらいで一気に読ませるならこれでも良かったでしょう。

よくわからないなりに薄気味悪さだけが残ったかもしれない。

でもこれで単行本1冊分はやっぱり厳しい。

中途半端に悪ふざけせず、ひたすらグロく昏くやれば暗闇に異形の花も咲いたかもしれませんが、笑いに色気をみせてるせいでそれも台無しになってますしね。

自己模倣、というと手厳しすぎるかもしれませんが、手慣れた手順でこじんまりと出来ることをやっただけ、という気も。

もともと作者のホラーギャグはあんまり好きじゃないんで、どうしても辛くなってしまいがちですが、それでもこの作品に往年の切れ味はない、と思う次第。

熱烈なファン向けですね。

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