静かなる復讐

静かなる復讐

スペイン 2016
監督、脚本 ラウール・アレバロ

過去に発生した銀行強盗事件に端を発する、ある男の復讐を描いた作品なんですが、はっきり言って邦題、なにをやらかしてくれてんだ お前は!ってレベルでネタバレかましててほんと許せなかったりします。

どうしたって避けようがないんで私も開き直って「復讐」と冒頭で書いてますけどね、実は中盤で「これは主人公の復讐だったのか!」とわかる瞬間が結構な衝撃で最初の山場だったりするんですよね。

全部台無し。

私なんざむしろ、どこから復讐が始まるんだろう?などと思いながら見てたものだから、最初に受けた印象は「遅きに逸した」で、立ち上がりがスローモーすぎるよ、と嘆息したような有様でね。

見終わってみて、よくよく考えてみたら、男が真の目的を明らかにするあの瞬間こそが見せ場だったんじゃないのか?と気づいたような状態でして。

タイトルが抱かせる先入観が監督の緻密な計算を全部ぶち壊しにしてることに、あとになって憤慨。

そもそも原題、TARDE PARA LA IRAですしね。

復讐の「ふ」の字もない。

なんでこういうセンスの欠片もない仕事ができるのか、ほんと神経を疑う。

で、本作、マーシュランドにも出演してたラウール・アレバロの初監督作品なわけですが、邦題の配慮の無さを無理矢理無視するなら、一俳優の初仕事とは思えぬ優れた出来栄えです。

痴情沙汰が結果的に血を見ちゃう話なの?と思わせておきながら、全ては計画だったと知れる「ネタバレ邦題」の展開がまずは鮮やかですし。

わかりやすい力の理論に与せず、たとえ非力であったとしても躊躇のなさ、揺るがぬ信念こそがなにをも圧倒する、としたドラマ作りもいい。

特に、上手い!と私が舌を巻いたのは、主人公が、暴力を振るわれることに怯えるような人物であるのにもかかわらず、ストーリーが進んでいくにつれ、暴力で威圧しようとした協力者が逆に怯えていく展開ですね。

秘められた狂気を見事に演出。

一切セリフのないラストシーンも素晴らしい。

協力者とその嫁の「目の演技」がね、多くのことを観客に考えさせるんですよね。

とても新人の初仕事とは思えない優れたフィルム・ノワールだと思います。

返す返すも邦題が悔やまれますね。

もし偶然にも海外で英語字幕なり、スペイン語版を見た人がいるなら、あなたは間違いなく幸運です。

次回作に期待。

これだけやれるなら相応のものを仕上げてくるはず。

だってもう、そう納得するしかないですしね。

しかしほんとしっかりしろ、クロックワークス。

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