スイッチ・オフ

スイッチ・オフ

カナダ 2015
監督 パトリシア・ロゼマ
原作 ジーン・へグランド

人里離れた山奥で、父親と3人で暮らす姉妹の「停電後」のサバイバルを描いたSF。

作中で特に言及されてないんでよくわからないんですが、やけにテクノロジーが進化してるんで、多分、少し未来のお話なんだろうと思います。

先端科学技術が汎用化してるんで山奥に居てもさして困らない、という設定。

ただそんな快適な生活も、電気の供給があってこそ。

ある日、何の前触れもなく送電がストップします。

待てど暮らせど電力は回復しない。

町ではガソリンが涸渇し、市民は暴徒化。

危なくて家から出ることも出来ず引きこもる姉妹。

突然原始的な生活を余儀なくされた2人は、どうやってこの苦境を乗り切っていくのか、が物語の主筋。

ま、姉妹の絆を骨子とした物語作りそのものはそれほど悪くなかったように思います。

非力であるがゆえ、支え合うことでしか難局を乗り切る術をもたない2人は見ているだけでハラハラするし、姉妹であるがゆえつい反目しあってしまう筋運びも巧妙だった。

普通、サバイバルもの、といえばその方面に詳しい男がなにげに居たりとかするのが常だと思うんですが、そこをあえて何も知らない女性2人を主人公としたのは目新しかったですね。

山奥、という環境だからこそ騒乱に巻き込まれず生をつなぐことができた、とする舞台設定も無理がなくていい。

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反面、私が引っかかったのは、デティールにあんまりこだわってないこと。

やっぱりいきなり文明的な生活から自給自足に転落しちゃったんだから、水をどうするのか、食料をどうするのか、って描写はこだわらないといけないと思うんですよ。

それでこそ現実味もましてくる、ってもので。

そこがね、けっこうおざなりなんです。

「タンパク質が足りてないわ」「じゃあ猟してくる」「しとめた」「さばくね」以上で食糧問題は解決、ってな按配なんですよね。

そんなに簡単に野生動物を調達できようもんなら猟師は商売あがったりだ、って話で。

2人の揺れ動く心模様を描くことばかりに執心したあまり、肝心のサバイバルに関する記述がごっそり抜け落ちちゃってるんです。

なので自給自足を強いられてる割には恐ろしく生活臭がしない、という奇妙な災厄映画になってる。

おそらくテーマとして追いたかったのは「文明からの脱却」であり「自然回帰」だったと思うんですけど、手を汚して苦労している風に見えない分、なにかと伝わりにくい仕上がりになっていたことは確か。

特にクライマックスのシーンなんて、なぜそんなことをしなきゃいけないの?ちょっとおかしくなっちゃったの?と誰もが頭をひねったはず。

あの場面をひとつの「儀式」として描けなかったのは間違いなく監督の至らなさによるものでしょうね。

見応えがなかったわけじゃないんですが、詰めきれてない、の一言につきますね。

3部作にするぐらいの意気込みで撮ればまた全然印象も変わったんだろうなあ、と思うんですが、現状どこかテレビドラマ風で表層的。

何を絵にして何を切り捨てるのか、その選択をしくじった作品、ってところでしょうか。

カタストロフを描いた作品は好物なんで、嫌いというわけじゃないんですが、うーん、やっぱり高くは評価できないですね。

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