アメリカ 2015
監督、脚本 ニック・ラブ
ぶっちゃけ、なんだかよくわからん映画でしたね。
主人公メルヴィンは自堕落で怠惰な生活をおくるバツ1の遊び人。
別れた妻の元にいる息子にすら裁判所から接近禁止令がくだされるほど。
そんな彼が、ある日、一念発起して真人間になろうとするんですが、そのために何をしたのか?というと近隣でドラッグを売りさばく悪党どもに戦いを挑むことで。
なぜ彼にそんなことが出来たのか、というと、メルヴィン本人が念動能力(テレキネシス)の持ち主だったから、なんですね。
で、不可解なのは、真人間になるために、なぜ主人公は地域の救世主になろうとしたのか、という点なんですけど、これがねー、最後まで見ても納得のいく答えは用意されてなくて。
物語の主題が不在、とでもいいますか。
ダメなオヤジが自らの能力に責任を感じて社会正義に目覚めたわけでもなく。
子供に堂々と会えるように努力する様子を感動的に描こうとしているわけでもなく。
ていうか、働けよ!って。
すべてがいきあたりばったりのシナリオなんですね。
一言でいうならルーズ。
なんかもういい加減ヤバイ感じだし、ちょっと頑張ってみたけど、あれ?頑張る方向間違ってたかな?ま、でもいいか、元々こういう人だし、みたいな。
カタルシスとは縁遠い「ゆるさ」が最後までだらだら折り重なっていく感じ。
仕掛けられた伏線とかも全然回収されないですしね。
特徴的だったのは全編手持ちカメラで撮影されていることなんですが、これもなぜ固定カメラじゃダメだったのか、私にはよくわからない。
作り込まれていない分、念動能力が発動するシーンはやたら現実感がありましたが、効果的だと思えたのはそこだけ。
とりあえず、超能力を題材としたドラマ性の高いコメディを期待すると、大きく落胆する事は間違いないでしょうね。
むしろ初期のウェス・アンダーソン監督作品に近い質感があるような気もします。
実はナンセンス映画なのか?とちょっと思ったり。
はまる人は理屈抜きではまるかもしれませんが、ダメな人は早々と寝オチしてしまいそう。
駄作、というのとはちょっと違うと思うんですが、キャッチコピーを真に受けると痛い目にあう、そんな一作だったように思いますね。