グレートウォール

中国/アメリカ 2016
監督 チャン・イーモウ
脚本 カルロ・バーナード、ダグ・ミロ、トニー・ギルロイ

ああこりゃ、東洋版スターシップ・トルーパーズ(1997)だな、と。

スターシップ・トゥルーパーズがある種のプロパガンダ映画だったことに対して、こちらは皇帝を守るに値しない臆病者として描いていて、そこに反骨が見え隠れしたりもするんですが、まあ、基本やってることは同じ。

得体の知れないクリーチャーが大群でわさわさわさわさやってきて、軍がそれを阻止せんと大活躍して。

双方被害は甚大、血肉飛び散る阿鼻叫喚、さて人類に勝機はあるのか、でも大したドラマはないよ、戦闘シーンメインの映画だから、みたいな。

スターシップほどグロくないのはグローバルな市場で売らんとする配慮でしょうね。

それ以上のものは特に何もない、ってのが本質かと。

見どころとしては中国ならではの美術、ガジェット、万里の長城という舞台に、ハリウッドの最新技術が導入された点でしょうか。

中国単独で作ってちゃクリーチャーのあのリアルな動きは表現できなかった、と思うんですね。

多分、戦闘シーンでどこか噛み合わないものが感じられたはず。

そういった意味ではチャイナマネーの映画業界進出も悪いことばかりじゃないな、と。

ただまあ、率直に言ってこりゃチャン・イーモウの仕事じゃないな、とは思いました。

シナリオのせいもあるんでしょうけど、本気でマット・デイモン演じる主人公やジン・テイエン演じる指揮官の心の機微を演出しようとしてないですもん。

ジェット・リーの出演を「まだ早い」と、英雄(2002)を撮るまで認めなかった頑固親父の御業じゃない。

多分これならローランド・エメリッヒとかマイケル・ベイあたりの、娯楽大作御用達な監督連中で充分事は足りた。

従来のイーモウ監督ファンはそこに物足りなさを感じるかもしれません。

けれど、これはこれでいいんじゃないか、と私は思うんですね。

万里の長城をがさがさよじ登ってくる大量の饕餮を描写した大混戦のシーンは問答無用でスリリングかつ圧巻でしたし。

何も考えずに「うおー気持ち悪りいー!!」と愉しめばいいのではないかと。

少なくとも中国でこんなモンスター・パニック映画はこれまでなかったことですし。

しかし、饕餮などという神話上の生き物をよくぞひっぱりだしてきたなあ、と思いますね。

伝奇マニアぐらいしか知らないんじゃないか、饕餮。

詳しい事がわかってないのをいいことに、アリみたいな生態にしたのはやり過ぎかと思わなくもないですが。

無難に娯楽作、酒飲みながら見るぐらいでちょうどいい、ってところでしょうか。

でも嫌いじゃないな、うん。

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