2017年初版 菅原キク
徳間書店リュウコミックス 全2巻
コミックアーススターに連載されていた「HOLY HOLY」に描き下ろしのエピローグを加えた新装版。
お嬢様学校に通う良家の子女10数名が、船舶事故により名も無き無人島に流れ着くんですが、そこには人を襲う人外の化け物が居た、ってなお話。
プロットそのものに新鮮味がないのは衆目の一致するところだろうと思います。
ま、よくあるパターン。
最近じゃ鬼畜島なんてのもありましたし。
逃げ場のない絶海の孤島でのサバイバル劇そのものが既視感たっぷりですんで、どこに意外性を求めるかがこの場合鍵になるかとは思うんですが、どうにか突破口になりそうなのは登場人物全員が女子学生である、という点でしょうかね。
庇護の対象でしかなかったか弱き存在が怪物相手に変わっていく姿を上手に演出できれば化けるかもしれない、とは思ったんです。
ただね、肝心の女の子達のキャラがいささか類型的なんですよね。
この子は高慢、この子はカリスマ、この子は依存するタイプ、みたいに、判で押したような表層的人格しかどの登場人物も併せ持ってない。
なのでドラマが勢いよく転んでいかない。
シンパシーを得にくいんですよね、わかりやすすぎて。
だから怪物に惨殺されようが、行方不明になろうが一向にハラハラしないんですよ。
なんだか寝ころびながらマイナーなTVアニメでも見てるような感覚というか。
唯一、これはちょっと面白いかも、と思ったのは人を襲う怪物の目的が何であるのか、小出しに明かされた最終回。
おお、これは行き先次第ではバイオホラーじゃないか、と。
現在、続編がキャラ総入れ替えでコミックリュウ誌上にて連載されてますが、最終回の引きを上手に料理してやればやり方次第では面白しくなりそうな気もします。
とはいえ、だから続編も読むのか?というと、それはまた別の話だったりするんですが。
少年誌向き、と思ったりしなくもありません。