トゥー・ラビッツ

ブラジル 2011
監督、脚本 アフォンソ・ポイアルチ

トゥー・ラビッツ

ブラジル暗黒街のギャングから取引に使われる200万ドルをかっさらおうとする男の計略を、スリリングに描いたクライム・サスペンス。

ブラジルのタランティーノ、なんて言われ方をしてるみたいですが、私の感覚ではこりゃ初期のガイ・リッチーですね。

それぞれの思惑が錯綜する展開といい、2転3転するシナリオ進行といい、やってることはよく似てる。

ガイ・リッチーと違うのは、随所に遊び心が見受けられる点でしょうか。

登場人物の顔に意味なく落書きをしてみたり。

手書きのテロップがやたら挿入されたり。

そこはどことなくミシェル・ゴンドリー風。

かと思えば、ティム・バートンかよ、と言いたくなるようなファンタジー調のCG映像が脈絡もなく心象風景に適用されてたりもする。

手札の数はかなり多い印象を受けました。

やろうと思えばなんでも撮れそうな、応用力の高さがありそう。

盛りだくさんで飽きさせない工夫がある、と言っていいように思います。

ただ、残念だったのは、ストーリーに整合性がないこと。

あっ、と驚かせるのはいいんですけどね、それぞれのキャラクターの真なる役割が暴かれていくにつれ、矛盾や齟齬が増えていく、というのはやっぱりいただけない、と思うんですね。

ありていにいうなら詰めが甘い。

大筋での無事な着陸に腐心するあまり、細部がおざなりになっちゃってる傾向があるんですね。

特にヒロインでもある女検事、いったいどういう女なんだこいつは!とつっこみたくなるほど設定が強引で人物像破綻してます。

この人、ちょっと軽くおかしいんじゃ・・と思えてくるほど。

主人公の親父のレストランで働く元教師もわけのわからんキャラ、としかいいようがないですし。

才能ある監督だ、とは思うんですよ。

けれどこの先もシナリオを自分で書くつもりなら、課題は色々あるぞ、といった感じですかね。

ま、何も考えなきゃ普通に楽しい映画だと思いますし、ブラジル期待の新星と認めることもやぶさかではないんですが、まだこの段階では白黒はっきりと判断するのは難しい、といったところでしょうか。

ハリウッドデビューを飾ったSolace(2015)の評価が知りたいところ。

今後の活躍に注目したい、と思わせる一作ではありましたね。

監督のセンスや語り口は嫌いじゃないです。

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