1992年初出 伊藤潤二
朝日ソノラマハロウィン少女コミック館
<収録短編>
落下
相部屋
旅館
布製教師
押切異談・壁
双一シリーズが表題作で一遍収録。
あんまり好きじゃないシリーズであることは以前にも書いたんですが、今回に限っては着想が結構ぶっ飛んでて意外と悪くない。
なんせ教師が次々と綿の詰まった等身大の人形にすり変わっていく話なんですよ。
本当になにをどうすればこんなこと考えつくんだ、とつくづく思う。
もはやシュールの領域。
「落下」のアイディアも凄い。
原因も理由もわからぬまま大勢の人が空から降ってくる物語、ってもう、尋常の発想じゃない。
むしろこりゃもうSFに近いんじゃないか、とすら思いますね。
「相部屋」も秀作。
これは怖い。
寂れた病院を舞台にしたのもうまい、と思いましたね。
「旅館」のおぞましさ、「押切異談」の気味悪さも秀逸。
充実の1冊だと思いますね。
個人的には駄作なし。
このあたりからだんだん伊藤潤二は手がつけられないほど面白くなってきます。
ファンなら必読でしょう。