1990年初出 伊藤潤二
朝日ソノラマハロウィン少女コミック館
<収録短編>
いじめっ娘
脱走兵のいる家
生霊の沼
赤い糸
中古レコード
贈る人
この単行本ぐらいから伊藤潤二は俄然その本領を発揮してきます。
絵柄も安定してきて全盛期に近いタッチに。
やはり必読なのは「赤い糸」「中古レコード」あたりでしょうか。
特に「赤い糸」は、なにをどう発展させれば千人針の慣わしがこんな不気味でわけのわからん物語になるのか、その想像力と奇想に舌を巻きます。
また、あの場面でストーリーをぶった切ってエンディングとする感覚がなんとも常人ばなれ。
「中古レコード」はオーソドックスなホラーなんですが、しめやかにうつろな黒々しさに満ちていてなんかもう読んでるだけで酩酊させられますね。
美品、と呼ぶのが似つかわしい。
押切異談シリーズも一編収録されてますが、今回は低調。
なんだかぱっとしない。
他ができすぎてるのかもしれませんが。
初めて作者の漫画を読む、って人はこの単行本ぐらいからがおすすめですね。