隣人13号

1999年初出 井上三太
幻冬舎コミック文庫 全3巻

自分の中にもう一つの殺戮者たる人格を持つ男の、狂った復讐劇を描いた作品。

映画にもなった作品ですが、結論から言うと私の場合、特に印象に残るものはありませんでしたね。

いじめの問題に焦点をあてたことが世相を反映していてタイムリーだったかもしれませんが、これって、突き詰めるなら「二重人格者の殺人」を題材としているにすぎないと私は思うんです。

そこになんら新鮮味はない。

遡るなら、それこそジキル博士とハイド氏 ぐらいまでたどり着いちゃうわけで。

類似作は立ち腐れるほどあると思います。

どう見せるか、と言う点で従来と切り口が違うんで、なんとなく目新しかったように錯覚してしまいがちですが、実質やってることに独創性はない。

せめて13号を医学的に検証するぐらいの客観性があればまた違ったか、とは思うんですが。

絵柄に馴染めなかった、というのも私の場合、大きかった。

多分私がこの手の作品に求めるものと、作者が描こうとしているものは全然別物なんだろうな、と思います。

それがなんなのかわかんないものだから、うーん、楽しめないですね。

すでに自分の作家性を確立している漫画家だと思うので、その感性に共感できる人向きでしょうか。

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