2013年初出 あさりよしとお
白泉社
タイトルは言わずと知れた小沢サトル「青の6号」のもじり。
本当にあさりよしとおと言う人はこの手の言葉遊びが好きな人である。
ま、なんせ青の6号ですんで当然内容は深海もので潜水艦も大活躍、といった按配なんですが、作者らしいのは主役が女子高生と小学生の二人組みで、舞台は東京湾、といった点。
猫型エイリアンなんかも登場してSF風味もたっぷり、ファンなら思わずにんまり、といったところでしょう。
腐女子なショタ趣味なんぞも隠し味程度に忍ばせてあって、これは雑誌の性格上、女性読者を意識してのことなんでしょうかね。
恋愛をテーマとする上でショタ趣味を持ってくる、ってのがいかにもあさりよしとおらしい変化球で思わず笑ってしまいますが。
終盤、二人の現実における境遇にちらっと言及する回なんかは、予想外の展開に物語が転びそうな期待感があったんですが、結果的にあんまり盛り上がらないまましぼんでしまったのが残念といえば残念でしょうか。
遠く宇宙にまでストーリーが飛躍しそうな勢いはあったんですけどね。
まあその、一応ラスト、宇宙にまで手が届いたことは届いたんですが、このエンディングにカタルシスを得た、って人はやっぱりあんまりいないのでは、と思ったりもします。
ハッタリをひっくり返すシリアスさみたいなのがもう少しあれば化けたかもしれません。
楽しい作品なんですけどね。
今、こういうSFコメディって少ないと思うんで、そこはやはり評価したい、とファンとしては贔屓する次第。