2011年初出 羽生生純
エンターブレインビームコミックス 1~2巻(全3巻)
なにをしていても充足感が得られない主人公タモツと、何もかもが規格外な女、減込ツイン子の、デタラメで八方破れな所業を描いた屈折系コメディ。
一応長編の体裁ではありますが、どちらかと言うと連作短編っぽい内容。
毎回色んな登場人物が事件をひっさげ登場し、それに二人がどう対応するのか、が読みどころ。
まあ、いつもの羽生生作品です。
格段目新しいものや、新しい挑戦は、2巻までの時点では見当たらない。
これぐらいのことはこの作者ならやるだろうと。
そういう意味では手持ちのカードだけで安牌な勝負に出た、って感じですかね。
それ、ちょっと辛辣すぎる意見だろう、と言われちゃうかもしれませんけどね。
やっぱりですね、私が一番ひっかかったのは、特に不自由なく生活できていることでなにを自分が求めているのかわからくなってる主人公を、きっとツイン子が何らかの形で覚醒させる路線なんだろうな、と最初から読めてしまってることですかね。
その手の物語って、振り返ってみるまでもなく、もう大量にあると思うんですよ。
いまさらなテーマ、とどうしても感じてしまう。
これを新人漫画家がやってる、と言うのならまだわからなくもないんですが、常に思わぬ切り口から奇矯な物語作りに邁進してきた羽生生純にしちゃあ、やっぱりどこか手ぬるい。
いや、味はいつもどおりなんです。
質が落ちたわけでもない。
でもね、ああ、これ、手癖だけでやってるな、と言うのがなじみのファンからしたらわかってしまうんですよね。
ひょっとしたら3巻に激動の展開が待っているのかもしれませんが、私は2巻で頓挫。
安定の羽生生印、と言えばそうなんでしょうけど、千九人童子ノ件、ピペドンと秀作が続いていただけに、私はちょっと拍子抜けでしたね。
あと、タイトル、飛ばしすぎ。
購買意欲に響くって、これ。