大江戸超神秘帖 剛神

1990年初出 滝沢一穂/近藤ゆたか
チクマ秀版社

江戸時代にウルトラマンを放り込んだらどうなるか?この作品がやってるのはまさにそれ。

試みは非常におもしろい、と思います。

ありそうで意外となかったプロットでしょうね。

ただですね、肝心の江戸時代の描写がちょっとラフすぎるというか、細部を詰めきれていないというか。

大江戸八百八町にいきなり巨大ヒーローが現れてしょっちゅう異形の怪物と大格闘を演じてたら、もうね、幕閣は大騒ぎだと思うんですよ。

磐石たる幕藩体制を根底から揺るがしかねない大事件なわけですから。

その気に乗じて地方の大名が反旗を翻す、なんてこともありえるかもしれない。

でも作品では徳川幕府の動きにほとんど触れられてないんですね。

結局、時代劇は現代劇より多少ルーズでも大丈夫、みたいな悪い慣習に寄り添ってる部分があって、作品世界に巨大ヒーローを立脚可能とするリアリズムがない。

辛辣な言い方をするなら「仮面の忍者赤影」とたいして変わらない荒唐無稽さ、で終わってしまってるんです。

技術的な問題で女性キャラが女性に見えない、というのもひっかかった。

何を描いても全部線が同じなんですね、この人。

一部のファンに高く評価されているのはわからなくもないんですが、なかなか広く支持されるのは難しい気がします。

いっそのことアニメか特撮でやった方が受ける内容だったかも、と思わなくはありません。

ちなみに未完。

こういう発想は結構好きなんで、なにかとはがゆい、というのが本音ですかね。

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