アメリカ 1978
監督 ジョン・デ・ベロ
脚本 コンスタンチン・ディロン、J・スティーブン・ピース
バカ映画として名高い脱力系カルトムービー。
ある日突然トマトが人を襲い出し、全米は上へ下への大騒ぎ、ってな内容なんですが、まーある程度予想してはいたものの、想像を超えて色々と大変なことになってて唖然とした。
そもそもなぜトマト?という点からしてわけがわからないんですが、その肝心のクリーチャーとしてのトマトをどう撮るかという部分、その工夫のなさときたら学生映画でも裸足で逃げ出すレベルでして。
トマトが道を転がってくるんです。
もちろんジャケットみたいに牙がはえてるわけじゃありません。
普通にトマト。
それを見て「わあっ、トマトが襲ってきた」と逃げ惑う人々。
えーと、どこか病んでるのか?あなたたちは?と。
トマトが死体に群がってます。
どうも人間を捕食してるシーンのようなんですが、何故か突然コマ撮り撮影になって、死体の上に置かれるトマトの位置が少しづつ移動する、という謎の前衛表現で残虐さをアピール。
もちろん血なんて一滴も流れやしません。
まあその、きっとエドウッドも草葉の影で「その手があったか!」と歯ぎしりしていることでしょう。
全編その調子なんで、間違ってもこれがホラーだなんて勘違いして見ちゃったりとかは完全にアウト。
必要なのは大人の寛容さ、です。
うんうん微笑ましいねえ、低予算でがんばったんだんだねえ、って。
なんだかもうね、小さな水溜りだとなめきって足を踏み入れたら実際は底なし沼だった、みたいな狂いっぷりでね、私は終始眩暈にも似たふらつきに襲われっぱなしでございました。
しかしながらですね、糞も糞なりに糞を全うすればそれなりの妙味も醸すわけで。
なんか笑っちゃうんですよね、出来不出来とは関係ないところで。
一生懸命小ネタを練ってきました、ってな小さなくすぐりがたくさんあったのは確かですし。
本気のバカと泣く子には勝てねえ、といったところでしょうか。
二度と見ないと思うし、なんの評価もできねえよ、と正直思いますが、メーター振り切ってるバカは好物なんで、すまん、好きか嫌いかで言うとちょっと好きだ。
主題歌まで用意してくる周到ぶりが心憎いよ、畜生。
あー映画ってなんなんだろう、とちょっと思ってしまったよ、マジで。