魔神伝

1986年初版 来留間慎一
徳間書店リュウコミックス 全2巻

厳密にはタイトルは「神」の下に「人」を組み合わせて魔「じん」伝と読ませるんですが、そんな字は存在しません。

まあ、やりたかったことはわからなくはないです。

しかしペンネームの慎一が魔獣戦線の主人公、慎一からとったものだとは調べてみるまで気づかなかったですね。

お好きだったんでしょうね。

作品の内容もどっちかというとソレ系かと。

時代を鑑みるに、伝奇バイオレンスブームまっただ中の、その影響下にある作品、と定義して良いと思うんですが、実は本作、侵略SFというか、20億の針のようであったりもするがややこしいところ。

好きなものを全部詰め込みました、ってな印象。

異世界ファンタジー的であったり、変身実写ヒーローもの的な要素も混在。

ここまで節操がないのは本当に珍しいと思うんですが、その混沌ぶりこそが本作の魅力と言われればそうかもしれません。

難点はそれぞれのキャラクターのバックボーン、人物像が全く見えてこない事と、その卓越した戦闘能力の由来が一切不透明なこと。

特に主人公の能力と結城にそれが顕著。

なにかというと超絶的な格闘シーン。

あとは女性キャラの作画がなんだか70年代のエロマンガみたい、ってのが個人的にはひっかかった。

え?私だけ?

夢枕、菊池が大好きでその世界観をマンガでこそやるべき、とした意気込みは買うんですが、どうしても突き抜けないマイナー臭さは拭えず、といったところでしょうか。

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