白雪姫と鏡の女王

アメリカ 2012
監督 ターセム・シン
脚本 マーク・クライン、ジェイソン・ケラー、メリッサ・ウォーラック

白雪姫と鏡の女王

近頃ディズニーが古典的童話をおもしろおかしく?現代的に改変してやたらヒットを飛ばしてますが、本作もその一環かな、と思いきや、こちらは独立系の制作会社による作品のよう。

「スノーホワイト」とか似たような映画が近年あったように思うんですが、そこは気にしてないんですかね、制作陣は。

便乗しちゃえ、的な感じなんでしょうか。

見る側にしてみりゃ、またか、ってな手垢感は否めないように思うんですが。

私もね、これをターセム監督が撮ってなかったら多分見てなかった。

だって、白雪姫と7人の小人たちって、なにも映画だけに関わらず、あらゆる媒体でパロディだったりオマージュだったり底本になっていたりと、さんざんいじりつくされたメジャーすぎる題材だと思うんですよ。

それを今更どうしたいのか、という話であって。

たとえ最新のCGなり撮影技術を駆使したところで、とうてい新しい白雪姫を見せつけてくれるとは思えない。

その予感はまあ、9割方的中してまして。

多分やりたかったのは、さして自主性も持たぬまま継母に翻弄され続け、あっけなく毒リンゴで昏睡状態のお姫様を、強い女として描きなおす、ってことだったと思うんですよ。

他力本願で守られるべき存在から、自分の足で立ち、自分の力で問題を解決しようとする自立した大人の女、それが新しい白雪姫、みたいな。

別にそれはそれでかまわない、といえばかまわないんですが、じゃあそれがなにか意外性に満ちていたり斬新だったりしたのか、というと全然そんなことはなくて。

そういう白雪姫もあり、でしょう。

ありでしょうけど、だからどうなんだ、としか言いようがない。

なぜそれをわざわざ白雪姫でやらなきゃならんのか、という部分で、私にとっては安い二次創作としか映らないわけです。

シナリオは思いのほかちゃんとしてましたが、これもねー、原典というたたき台があるわけですから、どの程度評価してよいものなのか悩ましいところですし。

監督らしさがほぼ見受けられないのも気になった。

石岡瑛子氏の衣装デザインも童話の世界観に縛られてしまったのか、いつもの奇抜さがなかったように思いますし。

ジュリア・ロバーツのどこかお茶目な悪役ぶりとか、リリー・コリンズの異常なかわいさとか、キャスティングに見どころはありますし、心優しいコメディとして出来は決して悪くはないんですが、どこか頭ひとつ抜けない、平均点以上を叩き出せない凡俗さは否定できないですね。

ファミリー向け映画、で片付けてしまうのが一番楽かと。

私はターセム・シン監督に必要以上の期待をかけすぎてるのかもしれません。

どうでもいい話ですが、フィル・コリンズにこんなかわいい娘がいたのか!ってことだけは仰天でした、失礼。

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