フランス/アメリカ 2001
監督 ミシェル・ゴンドリー
脚本 チャーリー・カウフマン
制作にスパイク・ジョーンズとチャーリー・カウフマンが名を連ねてて、監督はミシェル・ゴンドリーときては期待するな、と言うほうが無理であって、つい見逃してたけどきっと面白いに違いない、よしよし、笑わせてくれるんですね、と遅ればせながらもいそいそとDVDをトレイにのせた私なわけですが、結論からいうと、あれ?って、感じ。
いやもう、本当に、あれ?って。
シナリオは相当変わってます。
いかにもカウフマン。
なんせ多毛症で全身毛むくじゃらの女とネズミにマナーを教えようとする博士、赤ん坊の頃から森で育てられ自分を猿だと思い込んでいる男の風向き定まらぬラブコメディでしてね、 そんなのをですね、真面目に見よう、と言うほうがそもそも無理な話であって。
さあ来い、準備はいいぞ、と最初からかまえていたわけですが、これがねえ、本当にもうねえ。
笑えないんですな。
もちろん小さなくすぐりはあります。
くすっ、とくる程度のやつ。
でもここまでの奇想天外な物語で、くすっ、じゃだめでしょうよ、と私は思うわけです。
そこはやっぱり、はらわたよじれさせてくれないと。
これ、やっぱりゴンドリーの演出であり、間の問題でしょうね。
露骨なぐらいウケ狙いでよかった、と思うんですよ。
なんてベタな、と失笑してしまうぐらいの。
ところが何故かコメディの割には妙にテンポが悪く、オフビート気味。
誰がドラマを期待したか、と言う話であって。
単純に不慣れだった、という事なのかもしれません。
それが如実に表れているのがラストシーンでしょうね。
内容だけで述懐するなら、あっと驚くオチ、と言っていいと思うんです。
ところが、実際は、ああ、そうだったの、ってな程度の感慨しかもてない。
落差のつけ方が下手だというのもありますが、なぜパフはあの状況で「早く車出して、早く!誰かに見られたら事だから!やばいから!」とあわてないんだ、と不思議で仕方がない。
結局は妙に落ち着いちゃってるパフを、おかしい、と思わない監督のセンスが問題なんですよね。
コメディになりそこねたコメディ。
シナリオがぶっとんでるだけにもったいないの一言。
毛だらけの裸身をさらしたパトリシア・アークエットの熱演が気の毒すぎる。