血潜り林檎と金魚鉢男

血潜り林檎と金魚鉢男

2010年初出 阿部洋一
泰文堂アーススターコミックス 全3巻

阿部洋一のシュールさ、薄気味悪さ全開の1冊。

ただしほとんど瓦解しかけ、といってもいいかもしれません。

というのも肝心の内容がですね、金魚鉢を頭部に抱いた怪人が金魚鉢の中に飼う金魚で人間の血をすすり、血を吸われた人間は金魚になってしまう、というホラー風味なストーリーだからなんですね。

ね、でたらめでしょ。

主人公は血を吸われた人間から金魚毒を排出するための少女スイマー。

なんか文字だけで読んでるといったいなんの話なのか、ますますわからなくなるなあ。

ほんと高橋葉介でもここまで無茶はやらないと思う。

これ、最後には上手にまとまるのか?と不安になるほど荒唐無稽なんですが、らしさはまるで揺るいでない、と感じられるのが凄いところでしょうか。

少なくともバニラスパイダーのファンが読んで裏切られた、とは思わないでしょう。

掲載誌の意向もあってか、スク水だとかラノベ風のタイトルだとか、色々面倒くさい部分はあるんですが、かといって美少女オタクな諸氏の妄想を助長するような描写はほとんどありません。

その手のファンは裏切られた、と思うかもしれない点がある意味ネックなのかもしれませんが、願わくばそれどころじゃないオリジナルな才能の発露を汲み取って欲しいですね。

電撃コミックジャパンの廃刊に伴い、3巻で連載が一時中断されましたが、近年、コミックアーススターで続編が再開。

なかなかメジャーに浮上できない阿部洋一ですが、この作品をきっかけに是非とも名が売れて欲しい。

光る奇想と先の展開が予想できない作話が魅力の異色なファンタジー。

まだどう転ぶかは不透明ですが、そう誰にでも描けるものじゃない、という事だけは断言しておきます。

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