悪党に粛清を

デンマーク/イギリス/南アフリカ 2015
監督 クリスチャン・レヴリング
脚本 クリスチャン・レヴリング、アナス・トマス・イェンセン

至極単純かつ、わかりやすい復讐劇であり、暴力による支配者に挑む徒手空拳のガンマン、と言う構図はあまたの西部劇における定番中の定番ともいえるスタンダードでは、と思いますんで、そこに新鮮味は全くありません。

私のような西部劇に詳しくない人間であってすら、いくつもの類似作が思い浮かぶぐらいなんで、この手のジャンルのファンにとっては、何故これを今あらためて焼きなおす必要がある?と懐疑的になる人もきっと多いことでしょう。

デンマーク発の西部劇としてなにか意味を持たせたかったのであれば、そこはやはり工夫がたりない、と言うしかない。

もっと大胆に、もっと挑戦的に、セオリーをひっくりかえす取り組みは出来たと思うんですね。

無難に、広く受け入れられるように、最大公約数でまとめた印象はどうしたって拭えない。

マッツ・ミケルセンの渋い演技を転ばぬ先の杖としてなんとか93分のりきった、というのが実際だと思います。

キャスティングが違ったら結構やばかったのでは、と思える点もいくつか。

ただですね、この監督、思いのほか映像センスに長じていたりはするんです。

加工してるのか、光の加減なのかはわからないんですが、色使いが独特。

特に夜のシーンなんて、同じ闇でも濃淡を調整していて、荒野の風景なのにも関わらずどこかゴシックな雰囲気があったりするんですね。

この作品だけの、荒涼たる1870年代アメリカ西部の情景描写を現出させていたのは確かだと思います。

だらだら長回しせず、スピーディーに場面、場面を切り取っていくのもいい。

それがあったおかげで最後まで退屈しなかった、というのは正直なところ。

ゆえになおのこと、これだけの画が撮れるんだからもうちょっと野心的でもいいのに、とは思いますけどね。

で、ちょっと気になったんで監督の事、調べてみたんですが、若い人かと思いきやなんと御年59歳でこれが2作目だとか。

色々納得。

経験と向学心の賜物であり、オマージュである、と解釈。

きっと長年西部劇が撮りたかったんだろうなあ、好きなんだろうなあ、と勝手に想像して、急に舌鋒が鈍ってくる私。

これはこれで良し、とすることにする。

あれ?

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