失踪日記2 アル中病棟

2013年初出 吾妻ひでお
イースト・プレス

アルコール依存症患者専門病院に作者が入院していた際の出来事をエッセイ風につづったもの。

失踪日記に収録されていたエピソードをさらに事細かく描いたものですんで、失踪日記をご存知の方にとってはあまり新鮮味はないかもしれません。

登場するキャラクターも同じ。

もちろん「アル中患者って入院したらこういう処置をうけるんだ・・・」と見知らぬ世界を覗き見する驚きはありますが、 大きいネタはすでに既出ですんで、どうしたってインパクトは薄く感じられます。

ただ、前作から8年の歳月をかけて作られた作品なだけはあって、作画の細かさ、作話の丁寧さは素晴らしいの一言。

そこに価値を見出せるかどうか、でしょうね。

単独で読む分に関しては、実録もの、という意味を踏まえるなら非常に希少な一冊だとは思います。

アル中病棟を描いた漫画なんて少なくとも国内において他にはありませんし。

どう考えても悲惨でしかないのに、それをエンターティメントとして昇華していることは間違いないんで、とりあえずファンなら失望することはないでしょう。

同じネタをひっぱるのではなく、別なものを、という欲求には沿えない部分もあるかもしれませんが、失踪日記を分岐点とするなら「化けた」吾妻ひでおの貴重な一冊、といえるのではないでしょうか。

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