パイド・パイパー

1990~91年初出 山岸 凉子
集英社YOUコミックス

<収録短編>
パイドパイパー
蜃気楼
負の暗示

サイコサスペンスの秀作といっていいのが表題作「パイドパイパー」

作者らしい鮮やかな手際の一作。

「蜃気楼」は過去さんざんあったパターンの、男と女のドロドロを狂気に着地させるサスペンスで、まあ単純にぞっとします。 

「負の暗示」は実際に昭和13年に起こった大量虐殺事件を漫画化した短編。

こういう試みってあまりないと思うし、そこに自分なりの考察を織り込んだスタイルもめずらしいと思うので、実に興味深かったですね。

この大量虐殺事件を負のサイクルと解釈した山岸凉子の視点はなるほどと思わせるものがあります。

意外にも一番印象に残ったのがこの一編だったりも。

突出した一作があるわけではありませんがファンなら満足の一冊ではないでしょうか。

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