地球へ

1977年初出 竹宮恵子
スクエアエニックスGファンタジーコミックス 全3巻

なんせ初めて読んだ竹宮恵子のマンガが「風と木の詩」だったので、当時学生だった私は激しい嫌悪感を覚え、それが原体験となり、本当に長い間、氏の作品は敬遠しておりました。

はっきり言って敬遠したままその存在を忘れていた、と言っても良い。

それが突然ああ、そういえば・・・と記憶が甦ったのが本作「地球へ」の復刻版を書店で目にした数年前でした。

そういえば読んでなかったなあ、と。

0年代に「地球へ」初読。

いるんでしょうかね、こういう人って。

さしたる期待もなく手にした本作なんですが、うわさすがに古いなあ、と思う部分はあるにせよ、やはり年月を経ても忘れられず復刻するだけのことはある、とうなずかされる内容ではありましたね。

遠い未来、環境汚染が進んだ地球を元に戻すためにマザーコンピューターによる出生管理を徹底させた人類は植民惑星で故郷の再生を待つが、管理されているはずの人類の一部が何故か超能力を発現し・・・・という、古典も古典、ベタベタのプロットなんですが、主人公であるジョミーとキースの立場を違えられぬ愛憎劇が今読んでも胸に迫るドラマを演出しており、思った以上に読後に物足りなさは感じない。

エンディングも通俗的な超能力バトルの勝ち負けに着地することなく、SF的飛躍があり、お見事。

今の読者や少女マンガになれていない人が本作の魅力をどこまで汲みとることが出来るのか、いささか疑問ではありますが、77年という時代を鑑みるならやはりこれは画期的だったのかも、と思う次第。

超人ロックの初期なんて本作の世界観、そのまんまですよ。

いわゆる超能力ものSFとして押さえておくべき古典だろうとあらためて認識した秀作。

すいません、見くびってました。

予想していた以上に面白かったです。

コメント

  1. […] 舞台にもなった衝撃の短編「半神」。これがもし、ブラックジャックの一話なら「快楽の座」や「植物人間」のように封印されたりしたんだろうか、と言う思いがちらりと頭をかすめたりもしますね。色んなところで色んな人がこの作品について論じておられますが、私がすかさず思い出したのはデ・パルマの悪魔のシスターであり、クローネンバーグの戦慄の絆であったりしました。何を描こうとしていたのか、おおよその見当がつかなくはないんですが、やっぱり短編で伝えきるにはページ数が足りなかったか、と言った印象。せめて100ページあればエンディングも変わっていたように思います。強烈な読後感を残す作品ですが、どう評価していいか悩む部分もあったりも。「ラーギニー」「スローダウン」「酔夢」はイマジネーション豊かなSF短編。マンガならではの絵の説得力が光る。「花埋み」「紅茶の話」「追憶」「パリ便り」は絵物語。「ハーバルビューティ」はコメディ調の宇宙SF。 きちんとSF的なオチが用意されているのが好ましい。「あそび玉」はいわゆるエスパーものなんですが、地球へ・・の萩尾版を読んでいるような感じも。一番の異色作は「マリーン」。間違いなく萩尾望都はこういう演出はしないと思われる描写があちこちにあり失笑。原作つきだとこうも違うのか、と驚かされる。くさくならない、と言うのが萩尾望都最大の長所かも知れない、と本作を読んでいてふと思ったりしましたね。それでもエンディングはきっちり自己流に手直しされており、感心。 […]

  2. […] 地球へなんて強烈な影響うけてると思います。 […]

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