聖女/Mad Sister

韓国 2018
監督 イム・ギョンテク
脚本 キム・ミン

誘拐された妹を救い出すため、元警護員の女格闘家である姉が男相手に大暴れするアクション映画。

この手の映画ではありがちですが、シナリオはあってないようなものです。

「そうも簡単に一人の人間が組織的犯罪者に拉致されたりしちゃうわけ?」と韓国の治安を訝しむ進行だったりはしますが、まあ、お膳立てと考えれば納得できなくもありません。

韓国映画にありがちな、エキセントリックで嫌な序盤の展開が特徴的ではあるんですけどね。

というのも妹、知的障害者っぽいんです。

毅然とした態度がとれないばかりに、クラスメートに翻弄され、悪い大人に騙され、あれよあれよと転落していく。

70年代の村社会かよ!とつっこみたくなりますし、福祉制度はどうなってるんだ?と、その環境のひどさに首をかしげたくもなりますが、これ、お姉ちゃんの怒りを爆発させるための「焚付け」なんでしょうね、きっと。

いやな焚付けもあったものだ。

多分、額面通りうけとっちゃあいけないんでしょう。

で、肝心のアクションなんですが、主演のイ・シヨンが韓国のアマチュアボクシングの大会で国家代表入りを果たしているだけはあって、それなりに見れる仕上がりにはなってます。

キレキレというほどではないんですけどね、そう見えないのはおそらくカメラワークや編集の問題でしょう。

香港のドニー・イェンのチームが撮ってたらもっと凄い絵になってた、と思う。

問題はイ・シヨンの演技でしょうね。

たった一人のかわいい妹が、障害を抱えるがゆえ悪い連中に騙されてひどい目にあってることが心底許せない、と怒りに震えてる風ではないんです。

なんだかずっと悲しそう。

やりたくないけど、仕方がないから体を張ってる、みたいな。

全然スカッとしないんですね。

わざわざ障害者まで持ち出して、慈悲をかける余地なんざ1ミリもない悪党を用意しておきながら、肝心のお姉ちゃんがなんだか不甲斐ない。

これ、リーアム・ニーソンだったら敵の悪党よりお前のほうがよっぽど怖いわ!ってなってた、と思うんですよ。

つまりはメリハリがないんですよね演技に。

オンとオフの切り替えがまるで出来てない、というか。

この手の奪還劇で、激情を伝えられずして何を感じろというのだ、という話でああって。

頑張ってるなあ、とは思うんですが、残念ながらミスキャスト。

監督がこれでよし、としてるのが不思議でならないですね。

請われて出演したのか、自分から志願したのかはしりませんが、イ・シヨン、これでは次はないでしょうね。

記憶に残らない一作となりそう。

まさかとは思うけど、社会問題を啓蒙したいとか思ってるんじゃないだろうなあ・・。

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