ある過去の行方

ある過去の行方

フランス/イタリア 2013
監督、脚本 アスガー・ファルハディ

別離が実におもしろかったので続けて見てみたアスガーファルハディの作品。

相変わらずうまいなあ、と思いました。

オープニングのシーンでね、空港のガラス越しにアーマドとマリーが言葉を交わすシーンがあるんですね。

字幕は一切出ません。

でもそれがね、二人の関係性を暗に観客に示唆する距離感みたいなもの、を絶妙に演出しているんですよね。

最後まで見たあとだと、余計にこのワンシーンが際立って思い返されます。

あと「別離」を見たときも思いましたが、ファルハディはとにかく台詞回しが見事ですね。

登場人物たちの会話だけでどういう物語なのかを見る側に自然と読み取らせていく。

これは圧倒的な構成力、といった方がいいのかもしれません。

内容は今回も男と女のいざこざに翻弄される子供達、といった構図で、心理サスペンス的な要素も含まれるお得意?のパターンだったりするんですが、2時間越えのヴォリュームにもかかわらず最後まで飽きさせません。

アオリ文句にある「衝撃の告白」はちょっと大げさか、と思わなくはないですが、緊張感が途切れることはありません。

ただですね、私が唯一引っかかったのは、これって結局は浮気しちゃってアイタタタな男女の自爆気味のお話でしかないよなあ、という点です。

「別離」はね、 誰が圧倒的に悪者、と言うわけでもないのにすれ違っていってしまう家族の姿になんといえない無常観があり、そこが私好きだったんですけど、こっちはねー、ちょっとあんたたち下半身がゆるくないか、というゲスなつっこみも成り立ってしまうように思うんですね。

故にラストシーン、今更そんなことされてもなあ、 ちょっと都合良すぎやしないか、という冷めた目線も存在しうる、と思うんです。

結局まとめきれなかったのだ、いや、そうじゃない、これはあなたに答えを問うているのだ、等、解釈は様々だと思いますが、私はいささか尻切れトンボ気味かな、と思いました。

圧倒的におもしろいのは間違いなんですが、そろそろ違う方向性の作品も考えてみてもいいのでは、と思った1作でしたね。

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