蝿の王

イギリス 1963
監督 ピーター・ブルック
原作 ウィリアム・ゴールディング

飛行機事故のせいで、無人島に取り残される羽目になってしまった少年達の、狂気に蝕まれていく数日間を描いた映画なんですが、原作があまりにも有名なだけあって、さすがによくできてる、と唸らされた1本でしたね。

公開から50年以上が経過してますんで、時代の風雪にさらされた分、つっこみたくなる点がないわけではないんですが、短い期間文明から隔離されるだけで子供ってのはたやすく理性を置き去りにしてしまう、と明示したシナリオは後続の多くの作品にはかりしれない影響をあたえたように思います。

これが当時流行りだった「孤島漂着もの」の派生的作品であった、というのもある意味驚きですね。

人の本質にも迫ろうとする語り口はどこか根源的であるようにも思えます。

もう少し演出にテクニックがあったらなあ、と感じたりもしたんですが、あえて説明的になるのを避けているのかもしれません。

ラストシーンがひどく印象的。

これを蝿の王とタイトルしたゴールディングのセンスも凄い、と思う。

嫌なものが後を引いたりもしますが、おさえておくべき一作でしょうね。

古典とあなどれないテーマ性を内包してるように思います。

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