横浜ホメロス

1991年初出 小池一夫/叶精作
スタジオシップ 劇画キングシリーズ全4巻

ホメロスと呼ばれる記憶をなくした男の逃避行を描いたバイオレンス。

で、このホメロスなんですが、怪しい研究所みたいなところに隔離されてまして。

どうやら研究所のバックには日本政府が存在してるよう。

ある女との出会いをきっかけに、ホメロスは徐々に自我を取り戻していくんですが、その過程で自分がアメリカで人体改造された人間兵器であることに気づく。

はたしてホメロスは自由を手にすることができるのか?ってのが物語のあらましなんですが、うーん、プロットがなあ・・・どうなんでしょう、90年代にしちゃあ古くないか?と。

改造兵士とか、映画のネタとしてさんざん使い回されてきましたしね。

物語の脇を支えるエピソードのひとつとしてなら、まだまだ機能しそうですけど、それがメインとなるとなかなかしんどいものがあるんじゃないか?と。

ホメロスと追っ手との駆け引き、ヒロインとの関わり合い等、作劇に読ませるものがないわけじゃないんですが、どこかテンションあがらない自分が居たことは確か。

途中でホメロスが、研究所との取引で、政府の走狗となる展開もやや興ざめ。

やっぱりね、小池劇画ならたった一人でヒロインの愛を胸に抱いて、叶わぬまでも巨大な組織に立ち向かって行ってほしいと思うわけですよ。

さらに最悪なのが、途中で投げ出したように未完のまま続きが描かれていないこと。

評価のしようがありません。

叶精作の油の乗り切った精緻な作画は素晴らしいんですが、肝心の小池一夫がそれに答えられなかった、って印象ですね。

だからネタ的に改造人間はしんどいだろうって、あれほど。

言ってないね、うん、言ってない、読んだの昨日だし。

叶精作ファンは楽しめるかもしれませんが、小池ファンにアピールできるものは少ない気がしますね。

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