激マン

2010年初版 永井豪
日本文芸社ニチブンコミックス 全6巻

自らの偉業をダンピングし続けたデビルマン商法ももはや限界、かといって新作もぱっとしない状況で、永井豪もこのままフェードアウトか、と思われていた矢先、まさかまさかの古巣漫画ゴラクでの復活。

正直驚かされました。

まだ「自伝」というか、「創作秘話」という手があったか!と。

永井豪はこの作品の長期連載化によって数多くの商業漫画家にひとつの方向性というか、晩節の筋道を指し示したように思います。

そこそこのヒット作を持つ漫画家なら誰でもこりゃ応用可。

まずはヒット作の2というかスピンオフみたいなのを描いて寿命を永らえて、それすらもあきられたら最後にヒット作の創作秘話をエッセイ風につづる。

否定的な意見ももちろんあるでしょう。

私だってできればデビルマンにはもう触れてほしくない。

こんなの、70年代に数々の名作を発表してきた天才のやることではない、と思います。

ですけどね、出版不況で漫画家も使い捨てになりつつある昨今、これはビジネスとして正しい、と私は思うわけです。

漫画家だって食っていかなきゃなんない。

アシスタントの食い扶持、プロダクションだって支えなきゃなんない。

それになによりも、いかにしてデビルマンは描かれたのか?って、やっぱりファンなら気になりますし。 

だれもこういう風にはやらなかったのを第三世代の漫画家である永井豪がやった、という意義は大きいと思います。

あとはあなたが70年代は70年代、現在は現在、と割り切って読めるかどうかだけ。

唯一苦言を呈するならタイトルで、バクマンを意識したようなタイトルは巨匠のやることじゃないと思う。

個人的にはデビルマン編はもういいので次は是非ハレンチ学園編を。

社会的な騒動になった一部始終を是非本人の筆で読んでみたい。

と、思っていたらマジンガーZ編が始まっちゃった、あれ?

コメント

  1. […] せめて永井豪の近作激マンみたいに、ヒット作となったあの作品の製作過程、その裏側を描く、みたいな形だったらまだ興味もそそられたと思うんですが、なにをそんなに追い詰められているのか、その理由のよくわからぬ狂騒だけで回を重ねられてもやっぱり共感できるものは少ない。 […]

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