魔街の坂

2014年初出 中村哲也
エンターブレインビームコミックス 全2巻

RPG風中世的世界観を基調としたファンタジー、と言っていいと思います。

主人公が「しゃべる」強化装甲をまとい、元は人間であるモンスターと戦う、という設定は古いアニメのようでもあり、流行のゾンビものからの引用のようでもあり、正直なところ意外性に乏しい、と言わざるを得ません。

街に残された子供達を守るために単身たたかう、というヒロイズムにはくすぐられるものがありますが、肝心の子供達と主人公の心の交流の描き方が、どうにもあと1歩踏み込めていない印象です。

主人公はどういう背景を持つ人間であるのか、それがわからないまま普通にいい人、というのも物語を薄っぺらくしているように思います。

主人公の内面をどうしても終盤まで明かせないなら、せめて性格設定にもう少し含みをもたせていただきたかった。

絵が若干古い、と言うのもネック。

敵モンスターがクチビルゲ(バロム1)になってます。

ただ、力量そのものは決して低くはない、と思うので、次は別のジャンルで再チャレンジを、と思います。

現代劇のほうが向いているのでは、と思ったりもしました。

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