ハレンチ学園

ハレンチ学園

1968年初出 永井豪
徳間コミック文庫 全7巻

当時の少年ジャンプに連載が開始されるや否や大反響をうけ、作者の名を一気に世間に知らしめた一作。

世間を巻き込んで世の親達から大きくバッシングされた作品としても有名。 

この作品を有害図書指定しようとした動きすらあった、というのだから驚きです。

いったいどれほどの俗悪な表現が?と後追いの私は眼を皿のようにして通読してみたんですが、読後に思ったのは「いったいこの作品の何がそうも批判の対象にさらされたのか、さっぱりわからない」でした。

他愛ない、というのが正直な感想。 

でたらめで奇人変人だらけな教師と主人公のドタバタを描いた学園ギャグなんですよね。

エッチな描写も後の永井作品に比べたら全然ソフトでヌードシーンでもバストトップすら描かれていないんです。

これを性的に問題ある描写、などといったらもう女性は漫画にだせない、と思いますね。 

教師の権威を地に落とし、あしざまにからかった態度が問題視されたのでは、と後に言われてますが、それだけのことで「作者の人格すら否定」するほどの社会的攻撃にさらされた、というのだから本当に集団のヒステリーってのは恐ろしいと思う。

読みどころはやはり他でも言われているように第一部のラストを飾る「ハレンチ大戦争」の回ですかね。

批判に呼応してメタフィクション化するかのように、大日本教育センターの大人たちがハレンチ学園を殲滅すべく、戦争を仕掛けてくる展開は、これまでのギャグ路線とうってかわって凄惨極まりなく、キャラクターの屍が累々と積み上げられていくシーンはデビルマンの終盤にも似て恐ろしくショッキングです。

 読んでて泣き出した子供もいたのではないですかね。

この時代にこんなことをやったギャグマンガはどこにもなかったと思います。 

それは間違いない。

その後、編集部の懇願で何事もなかったかのように第二部、第三部と連載は続いていくんですが、今、改めて読んで評価できるのはやはり第一部までですかね。

しかしいうなれば世間の大きなバッシングがこの「ハレンチ大戦争」の回を産んだ、ともいえるのだから皮肉なものだ、と思ったりもしますね。

実は永井豪という大漫画家を「起こして」しまったのは当時の良識ある大人だったのでは、と思う次第。

作者の才気が見え隠れする記念碑的作品でしょうね。

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