サイボーグ009完結編 conclusion god’s war

2012年初出 
原作 石ノ森章太郎、小野寺丈
作画 早瀬マサト、石森プロ
小学館少年サンデーコミックススペシャル 1巻(全5巻)

サイボーグ009は完結していない、というのはファンならご存知のことと思われますが、残された石ノ森章太郎の構想ノートを元に、石森プロが総力を挙げて漫画化に挑んだのがこの作品。

そもそも009の完結編は「天使編」と「神々の戦い編」二つあるんですね。

天使編のリテイク版が神々の戦い編なんですが、どちらも核心に物語が及ぶ前に中断。

完全なる完結編を、という意図で「GOD’S WAR」なるタイトルのシリーズが98年創刊のコミックアルファに連載されるはずだったんですが、先生本人が病に倒れてしまったことで掲載中止。

このプロットは後に小野寺丈が小説化して出版するんですが、漫画と言う形では2012年まで存在しなかった。

いや、そりゃね、ファンとしちゃあ胸が高鳴りますよ。

ご本人はもういらっしゃいませんし、幻の企画として決して読むことが出来ないもの、と思っていたのが形になるんですから期待するな、と言う方が無理。

ただ不安はあった。

なんせ完結編、最後の敵は「神」なんです。

石ノ森章太郎ですらもてあまし、2度の未完を余儀なくされた題材。

それを残された人間で最後まで描ききることができるのか、と。

オープニングはただただノスタルジーでした。

ああっジョーがあっ、フランソワーズがあっ、また漫画に登場してるーっ、って大興奮。

ですがそれもオープニング終了までの話。

率直に言いまして、ああこれは009じゃない、というのが正直な感想。

そりゃ本人不在なんですからそっくりそのままなはずはありません。

似て非なるものになるだろうことは覚悟していた。

でも石ノ森作品に似せることが第一義としてあり、他がおろそかになっているなんて思ってもみなかったんです。

びっくりするぐらい石ノ森章太郎の作法やクセを忠実に再現してるのは間違いないんですが、なんといいますか、キャラが誰一人として生きてないんですね。

ジェットもフランソワーズも誰も見てないんです。

抽象的で恐縮なんですが、全員の目がうつろなんですね。

視点移動とか、技術的な問題なのかなあ、と思ったりもしたんですが、それともまた違うような気がする。

キャラの誰一人として読者に語りかけてこないんです。

いわゆる役者でいうところのダイコンばかりが棒読みのセリフで舞台に立ってる感じなんです。

漫画を読んでいてこんな経験は初めて。

ただただ残念。

期待が大きかった分、落胆の度合いも手痛いものがありました。

いっそのこと若手の有望な新人に、絵柄を変えてでも描かせるべきだった、と今は思いますね。

009は未完。

それは私の中で変わらぬまま終わってしまうようです。

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