ゲゲゲの鬼太郎 死神大戦記

1974年初出 水木しげる
ぱる出版

突如太陽が姿を隠し、闇に包まれてしまった地球で、太陽を取り戻すべく「ユニコンの鏡」を求めて地獄へと向かう12人の子供達と水木しげるを描いたオカルトファンタジー。

そうです、なぜかこの作品、水木しげる先生ご本人がキャラとして結構重要な役割で漫画に登場するのです。

オープニングはなんだかもう、とてつもなく壮大で、水木版ハルマゲドンを描こうというのか、という勢いなんですが、途中でおなじみ鬼太郎が登場。

え?なぜ鬼太郎、と戸惑うも、あれよあれよと物語はいつもの鬼太郎妖怪退治の韻を踏むパターンへ。

前半の緊張感はどこへ、といった感じで、半ばグダグダなまま終盤、12人の子供は一体なんだったんだよ、最初と話が違うじゃないかよ、と憤るも、いきなりの大日如来降臨で終幕。

いやもう、いつもどうりといえばいつもどうりなんですけど、なんだか脱力ですね。

この本って、私が購入した当時は「ゲゲゲの鬼太郎」のサブタイトルがなかったんですよ。

なのでついつい別のなにかを期待しちゃった、というか。

13年より刊行された全集以前に、この作品を鬼太郎のシリーズに組み込んでいる単行本も見当たりませんでしたし。

西洋と東洋の妖怪に加え仏教やらキリスト教やらの入り混じる、独特の地獄巡りを描いた作品と言う意味では興味深いですが、鬼太郎のセオリーから逸脱していない、と言う意味で、あまり期待するのはよろしくないかもしれません。

ファンはそれなりに満足かと思いますが。

タイトルとURLをコピーしました