ゲゲゲの鬼太郎

1965年初出 水木しげる
中央公論社愛蔵版 全5巻

テレビアニメ史上最多となる5回のシリーズ化を成し遂げた国民的作品なわけですが、漫画だけ読んでますとなにがそこまで人気を博した?と不思議な気持ちにならなくもありません。

特に初期は結構怪奇色が強いです。

アニメの目玉オヤジはどこかかわいらしかったりもしますが、漫画の目玉オヤジなんて、その誕生からしてマジで気味悪いですし。

よくぞこのポジションからここまで万人に受け入れられる作品になったことよなあ、と後追いながらどこか感慨深かったりしますね。

やっぱりキャラなのか、と思ったりもします。

サブキャラも含めて、強烈にクセのある人物、いや、妖怪ばかりですし。

結局は妖怪を擬人化することに恐ろしく長けていた、という事なのかもしれません。

もちろんそこには妖怪と言う文明開化以前に一度滅びかけた存在に、新たな息吹を吹き込んだ、と言う功績もあるわけですが。

アニメでは勧善懲悪な立ち位置を崩さない鬼太郎ですが、実は漫画では結構適当でゆるくてですね、妙な脱力感がダウナーな笑いを誘ったりもします。

悪い妖怪は許さないぞ、と能動的に行動するのではなく、なんとなく義務感から仕方なく対決の場におもむいているような空気をはらんでる回がいくつかありまして、振り返るなら、ああこれこそが水木しげるの味だなあ、と今は思いますね。

30年以上にわたって20誌を超えて断続的に連載された作品ですんで、時代ごとの解釈はあるかと思うんですが、やっぱり私は初期~70年代の鬼太郎が好きですね。

貸本時代はまた別として。

私の知る限りでは80年代以降の鬼太郎はアニメの設定と近いことをやろうとしていたように思います。

余談ですが、鬼太郎の全原稿を収録した単行本、って長い間存在しなかったんですが、2013年から刊行が開始された水木しげる漫画大全集にはすべての作品が網羅されるみたいです。

興味のある方はどうぞ。

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