宇宙戦艦ヤマト

1974年初出 松本零士
秋田書店サンデーコミックス 全3巻

松本零士の名を一気に日本中に知らしめた大出世作ですが、それは「アニメが」であり、この漫画の方はそれほどたいした出来ではなかったりします。

おおむねアニメを踏襲しただけの内容で、そこに作者ならではのSFマインドや独自の設定は存在せず。

だいたい戦場まんがシリーズなんて書いてる人が、エンディングで「話し合うべきだった」などと古代進に言わせるわけがない、と私は思うわけです。

なのでヤマトを知るには、アニメシリーズか、劇場版第一作を見るのが最適。

このマンガを原作と見る人も当時はたくさんいましたが、そりゃ誤りで、本作の企画はそもそも73年からあり、この作品はテレビアニメ放映時、同時に冒険王でタイアップ的に連載されたものなんですね。

ただヤマト、という看板で作者は完全に時代を呼び寄せた感はあります。

結局誰が原作なのか?は、もめにもめて裁判沙汰にまでなってますから、ややこしいところなんですが、キャラクターデザインおよびいくつかのアイディア、シナリオを提供した、ぐらいの認識が妥当かと私は思います。

戦艦ヤマトを宇宙に飛ばす、というアイディアや、ガミラス帝国との星間バトル、深刻化する地球規模の放射能汚染など、その魅力については簡単に語れないものがありますが、それを「漫画」を紹介するページでやっていいものかどうなのか、悩ましいところ。

オリジナルヤマト、という意味では後年発表された「新宇宙戦艦ヤマト」こそが松本ヤマトかと思いますが、これ、中途半端なところで終わっちゃってるんですよね。

なにかと面倒な作品です。

アニメはともかくとして、「漫画作品」として語れるものはほとんどない、と言うのが正直なところでしょうか。

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