フェイズⅣ

アメリカ 1973
監督 ソウル・バス
脚本 メイヨ・サイモン

フェイズⅣ

謎の宇宙現象の影響で、蟻が突然知能を持ち、人間を攻撃しだしたら・・・という仮想を描いたパニックSF。

そもそも謎の宇宙現象って、なんなんだ、と思わずつっこみたくなってしまうわけですが、きちんと生物学を踏まえた上で描写された、蟻と二人の科学者の戦いはなかなか見応えのあるもの、ではありました 。

時代が時代ですんでSFとして古さを感じる部分もあるんですが、蟻と図形を用いてコミュニケーショーンをとろうとするシーンなんかは、知的好奇心をくすぐられたりしましたね。

私が驚かされたのはシナリオに沿った蟻の動きをきちんとフィルムに収めていたこと。

だって相手は蟻ですよ?

芸を仕込むわけにもいきませんし。

ましてやCGなんぞも存在しない時代。

いったいどれだけの時間を費やして撮ったのだろう、と思うと頭が下がります。

結局知性を持った蟻は、何をどうしたかったのか、その部分が作品内で推考されることなく曖昧なままとてつもなく段差のあるオチに至ってしまったので、ラストシーン、いささか疑問符が飛び交いはしたんですが、こういう試みをした作品って、あまり思いあたらないのでまあ良しとするか、といったところですかね。

若干の矛盾や隙、演出のつたなさがB級転落寸前にまで作品を押しやってる気もしますが、好きか嫌いかで言えば好きな部類なんでようやくのDVD化をまずは祝したい気分ですね。

ここからさらに世界を押し広げてヒロイックに昆虫パニックを描いたのが手塚治虫のミクロイドSか、と思ったりもします。

異論噴出しそうですけど、はい、すいません。

タイトルとURLをコピーしました