アンダー・ザ・スキン 種の捕食

イギリス/アメリカ/スイス 2013
監督 ジョナサン・グレイザー
原作 ミッシェル・フェイバー

アンダー・ザ・スキン 種の捕食

ある種の侵略SFでいいんでしょうけど、スピーシーズとか、あのあたりを想像してもらうのが一番わかりやすいか、と。

プロット自体に新鮮味は皆無です。

それこそボディスナッチャー/恐怖の街ぐらいの頃からさんざん繰り返されてきたネタ。

この作品が特異だったのは、それを逆手にとって、あえてエイリアン視線でストーリーを進行し、余計な説明的モノローグやセリフを一切排除したことでしょうね。

絵で全部説明する、という意気込みは評価したい、と私は思います。

エイリアンの捕食行為を表現した過分に無機的でシュールなシーンもそうなんですが、派手なCGやアクションに頼らず、奇妙に静謐な雰囲気を保ったまま最後まで見せきったセンスはなかなかのものだ、と感じました。

エンディングのあっけなさ、あってないようなシナリオに賛否が分かれそうですが、ラストシーン、ひっそりと誰にも知られることなく立ち上る黒煙は、どこか無常観をも漂わせているようで、その演出の淡白さは近年のSF映画の手口じゃないな、と妙に感心させられたりも。

アート志向で片付けるのはたやすいですが、きわどいラインで観客を突き放してないと私は思います。

どこか記憶に残る一作ですね。

タルコフスキーやキューブリックの名がでてくるのもわからなくはありません。

最近の映画ファンには受けないかもしれませんが、こういう形で想像の余地を残した作品は私、好きですね。

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