LOVE

LOVE

フランス/ベルギー 2015
監督、脚本 ギャスパー・ノエ

どこにでもいそうなモラトリアムなカップルの、出会いから別れまでを露骨かつ赤裸々に綴った恋愛ドラマ。

何が露骨かというと、そりゃギャスパー・ノエですんで。

オープニングからいきなりモロ出しのベッドシーン。

これまでのノエの作品って、モザイクが入ってないことも多かったんですけど、今回は流石に日本の配給元、やばいと思ったのか、きっちり濃い目のボカシで対応。

なんせ女優さん、大股開きであれこれなさってますから。

なんのアダルトビデオなんだよ!とつっこんだ男性諸氏もきっと多かったことでしょう。

で、肝心の内容なんですが「よくある痴情沙汰」以上のものは特に描かれてなくて。

元々それほど凝ったシナリオを書く人でもないですから、こんなのもかな、って感じではあるんですが、ノエにしちゃあえらく真正面から勝負してるな、と。

これを真正面、と言ってしまうと他の恋愛映画の立つ瀬がない、と言われてしまいそうではありますが。

今回、アレックス(2002)やエンター・ザ・ボイド(2009)で披露した「時間軸を無視したワンカット風のカメラワーク」は採用されてないんですが、それでも「らしい」と思えるのが、さすがはノエ、といったところでしょうか。

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あまりに性やドラッグに奔放な二人を、一切包み隠さず全部フィルムに焼き付けつけてしまう制作姿勢に賛否が分かれ(好き嫌いが分かれる)そうではありますが、個人的にはキレイで無難に甘酸っぱくまとめられたラブロマンスより、ずっと正直かな、と思ったりはしました。

もう、真顔で訴えてますからね。

いや、みんな若い頃、彼女とセックスしまくったでしょ?って。

それこそもう、洗面台とか路上とか、多少アブノーマルなプレイとか。

ドラッグだって興味本位で手を出したはず。

20代の恋愛って、そういうもんでしょ?って。

ま、お国柄の違いはあれど、嘘はついてない、と思う。

最近の日本の植物系男子とかはどうなってるのか知らないですけどね。

若さゆえの頭の悪さ、モラル不在が匂い立つように漂ってるのも共感できましたし。

もちろん、女性ウケは悪いと思うし、生理的嫌悪感を抱く人もきっとたくさん居ることだろうと思います。

ぶっちゃけ私もあまりに頻繁に挿入されるベッドシーンに疲れて、変な中だるみを感じた、というのはありましたし。

ただね、それを超えて物語が終盤にさしかかるまで辛抱するとですね、これがなんとも不思議なんですけど、奇妙な「切なさ」を覚えたりするんですよね。

責任の所在とか、どちらが正しくて誰が悪いとか、そんな話じゃないんです。

誰しもが、色んな要因がかさなって、うまくいかなくなった恋愛経験のひとつやふたつは必ずあるはずで。

それがいつしか映画の内容と「重なって」いくんですよね。

なんなんだこの普遍性は、と。

まさかノエの映画で感傷的な気分になるとは予想もしてなくてですね。

確かにこりゃ「LOVE」だ、変に納得したり。

間違いなく広くはオススメできない映画なんですけど、ノエの信者が一定数映画ファンの中に居ることを変に納得できた一作でしたね。

ひょっとしたらこれまで見たノエの作品の中で、私にとって一番腑に落ちた一作が本作になるかもしれません。

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