2015年初版 設楽清人
エンターブレインビームコミックス
ミラクルジャンプ及びハルタに掲載された作品5編を収録した短編集。
画力は高いです。
どことなく桂正和を思い起こさせるものがあったりも。
粗製乱造気味な近頃の新人と比較しても頭ひとつ抜けて実力派だと認めるにやぶさかではなんですが、問題はやはり作話の方向性でしょうね。
ありていに言うなら、どの短編も少年漫画そのもの、なんです。
くじけぬ心と友愛、そして闘い、信じれば夢は叶う的な。
実に少年ジャンプ的とでもいいますか。
私の場合、ビームコミックスには大人の目線にも耐えうる作品のラインナップを期待してますんで、なんか拍子抜けしてしまった、というのはどうしてもあった。
別にこれはこれでダメだというわけではないと思うんですが、やっぱり少年誌とハルタのような一般青年誌の描き分けは意識的にやれないとまずいでしょうし、逆に少年漫画しか描きたくないんだ、という事であればそういう場所で機会を求めて鍛錬を積むべきだろう、と私は思うんですね。
多分、作者の漫画に胸躍らせるような層はビームコミックスを熱心にチェックしてたりはしないと思う。
一言で言うならどこか場違い。
それを計算の上で編集部は仕掛けてきてるのかもしれませんけどね。
少なくとも現時点では大人がチェックするような内容ではない、と思う次第。
この方向性で作者が漫画家を続けていきたいと思うのであれば、ハルタにかかわってなんかいないで、ジャンプでもサンデーでもマガジンでもなんでもいいんで連載目指してひたすら精進すべきでは、というのが私の結論。