いわゆるカンタベリー系ジャズ・ロック。
私が聴いたのは1stアルバムであるGilgamesh(1975)だけなんですけど、これがなぜだかしらねど不思議に気持ちよくて。

ロックファンが希求するものは恐ろしく薄味でしか存在しない、と思うんですよ。
例によってクールで盛り上がりませんし。
でも、意図的にロックに寄せるのではなく、殻を破ろうとしたことがロックの奔放さに自然と近づいていってしまったような感触があって。
だからといって野卑ではない。
ロックなベクトルが優美な音使いとして産み落とされてるんですよね。
繊細さがぷるぷる震えてる感じ。
なんなんだろ、この出来たてホヤホヤみたいな手触りは?と当時は首をひねったものです。
格別奇抜なことや突出したことをやってるわけではないと思うんですけど、アラン・ガウエンのピアノがピロピロ鳴り出すと、なんだか気持ちを持っていかれてしまうというか。
単純に彼のプレイが好き、ということなのかも知れませんけどね。
全編インストゥルメンタルのアルバムですが、最後まで飽きません。
ジャズ畑のプレイヤーが集まってるんでテクニックも申し分なし。
多分、ここから更に進化するんだろうな、と思わせる音ですが、手探り感が、このときだけの絶妙なバランスを形成してる気がしますね。
なにかがひとつ崩れると、おそらくプログレの外側へとはみ出してしまうんだと思います。
カンタベリー系で私が楽しめる数少ないアルバムの内のひとつですね。
