DAVID

1986年初版 板橋しゅうほう
東京三世社マイコミックス 全2巻

人類が地球以外にも居住領域を広げた宇宙時代を舞台に、アルハザード奇脳本と呼ばれる「生きている本」をめぐる駆け引きを描いたアクションSF。

なんせ宇宙ステーションで錬金術なんて単語がいきなり飛び出してくるのだから、それだけでもうSFファンとしちゃあゾクゾクしてくる、ってなもので。

脳に外部接続端子を持つ人々や、神の子を宿そうとする展開等、道具立て及びシナリオにも隙なし。

今でこそ攻殻機動隊があまたの未来風なガジェットを広く認知させたと思われてるわけですが、コミックの世界において嚆矢たる存在だったのは間違いなくこのDAVID。

この頃こんなサイバーなSFをぶちかましてたのは板橋しゅうほうしか居なかった。

2巻では牢獄と化した地球で神の子と主人公との攻防を描く展開に一気に時代が飛び、物語は前半と色を変えるんですが、これまた先の展開の読めないスリリングな好内容。

惜しむらくはエンディングで、後味の悪さや救いのなさはまだいいとしても、雑誌掲載時の人気も影響したのか、どうもあわてて終わらせた印象があり、なんとなく尻切れトンボ気味。

もう少しじっくり描いていただきたかった。

とはいえ、プロットの斬新さ、既成の枠にとらわれぬ発想の豊かさは今読んでも充分驚きなのでは、と私は思います。

個人的に忘れられない作品。

本来ならこの3倍ぐらいの長さを必要とする話なのになあ・・・とこの作品の置かれた状況の不遇を呪ったりもしましたね、当時は。

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