70年代

サンダーマスク

1972年初出 手塚治虫 テレビの企画が先で、それに準じて先生が漫画化された作品。 テレビ版サンダーマスクはメディア化されず封印された作品として、好事家の話題にのぼりましたが、漫画を読む限りではなんてことのないウルトラマン型のヒーローアクシ...

火の山

1972~79年初出 手塚治虫 表題作「火の山」を中心に4編の短編を収録した1冊。 時代劇からサイコキラーなサスペンスまで、多彩な内容ですが、それほど完成度の高いものはなし。 表題作も昭和新山とその観測者三松氏の物語、という題材の珍しさが目...

奇子

1972年初出 手塚治虫 手塚青年マンガの中でも群を抜いて暗くて救いのない一作。 戦後の閉塞した村社会で家父長制が生々しく生き残った大地主一家の物語なんですが、作中の、これでもかとインモラルでドロドロの人間関係が目を背けたくなるほど息苦しく...

鳥人大系

1971年初出 手塚治虫 ある日突然、鳥類と言う鳥類の知能が一斉に高まり、もし人類を敵対視しだしたら・・というお話。 最終的に人類は抵抗もむなしく地球の支配層としての地位を奪われ、家畜と化し、主従は逆転、さて地球の歴史はどうなっていくのか?...

ブッダ

1972年初出 手塚治虫 手塚版お釈迦様の一生なわけですが、各方面の評価の高さとは裏腹に私は、こりゃやっぱり「絵解き」だよなあ、と思う次第です。 先生にしか描けなかったブッダ、では決してないように感じるんですね。 仏典に伝えられるものとの違...

ショートアラベスク

1970~73年初出 手塚治虫 主に小説サンデーに掲載されたショートショート集。 漫画でショートショートって珍しいと思うんですが、これが実に良くできていて驚き。 「反射」の巧みさや「紐」のナンセンスさはお見事の一言。 一番おもしろかったのは...

きりひと讃歌

1970年初出 手塚治虫 だいたい先生の青年向き漫画は半分ぐらいが暗すぎてしんどい、と私は密かに思ってたりするんですが、その中でも例外的にやたらとおもしろいのが本作だったりします。 モンモウ病という謎の奇病をでっち上げてその正体にジリジリ迫...

アポロの歌

1970年初出 手塚治虫 異色の性教育漫画、などと言われたりしてますが、そんなご大層なものでもなし。 多分後づけで誰かが言ったんでしょうね。 愛情に恵まれない子供時代を送り、屈折した青年になってしまった主人公が、何故か人知を超越した存在の力...

ボンバ!

1970年初出 手塚治虫 作品のテーマ、シナリオ構成とも、後に発表される「鉄の旋律」と非常に似通ったものがあり、違いがあるとすればこちらの方がいささか救いがあるか、ってことぐらい。 ああこりゃ低迷期の作品だなあ、って感じです。 何故同じネタ...

アバンチュール21

1970年初出 手塚治虫 初期の名作「地底国の怪人」のセルフリメイク。 何とか時代にそぐうようにもっともらしくあれこれ装飾、改変がなされてますが、地底探検、というプロット自体が焼き直すにはまだ早すぎたような気もします。 もちろんオリジナルよ...

人間昆虫記

1970年初出 手塚治虫 周りの人間を模倣することによって世の中を器用に渡っていく女の遍歴を描いた異色の人間ドラマ。 過分に70年代的。 結局何が描きたかったのかよく分からない、っては正直ありますね。 マキャベリアンとしてたくましく生きてい...

アラバスター

1970年初出 手塚治虫 透明人間になり損なった半透明人間を主役にしたダークヒーローものなんですが、悪徳を行使するスリルを上手に描き損なった、ってなところでしょうか。 主人公アラバスターが何を考えているのかいまいちよくわからない、というのは...

やけっぱちのマリア

1970年初出 手塚治虫 ベッドの中の脚を描いただけで警察に呼び出しをくらった時代を経て、大胆な性描写や裸がある程度緩和されて少年誌に載り出した頃、先生が「こっちは描けなくて控えていたのじゃない、描きたくても描けない時代の苦労なんかおまえた...

ふしぎなメルモ

1970年初出 手塚治虫 テレビアニメの企画が先行して執筆された作品。 当時、幼年誌3誌に同時に連載が始まったらしいんですが、ほとんどの原稿を後に紛失。 単行本化された原稿は先生自身が「一番つまらかったもの」と公言されているもので、実際確か...

悪魔の花嫁

1975年初出 池田悦子/あしべゆうほ秋田書店プリンセスコミックス 1~4巻(全17巻) 子供の頃、なぜか一生懸命読んでいた作品で、懐かしくて再読したんですが、いやー凄かった。 もう、どこからつっこんでいいのか、わかんなくなってしまうぐらい...

百億の昼と千億の夜

1977年初出 光瀬龍/萩尾望都秋田文庫 このようなド級のSFが少年チャンピオンに掲載されていた、というのが驚きですし、しかも作画が少女マンガ界の生ける伝説、おモー様である、ということも今となっては二重にびっくりだったりします。 はっきりい...