オススメの一作!

セブンブリッジ

1986年初版 板橋しゅうほう潮出版社希望コミックス 全7巻 あまりにも漫画好きの口の端にのぼることが少なくて悲しい限りなんですが、80年代のSFファンタジー、冒険SFの中でも確実に3本の指に数えられる傑作、と私が確信しているのがこの一作。...

狼の口

2009年初出 久慈光久エンターブレインビームコミックス 全8巻 14世紀初頭のアルプス山脈を舞台に、オーストリアの圧政に対する森林同盟三邦の独立を求める戦いを描いた歴史大作。 タイトルの「狼の口」とはアルプス山脈ザンクト・ゴットハルト峠に...

うずまき

1998年初出 伊藤潤二小学館スピリッツ怪奇コミックス 全3巻 伊藤潤二はどちらかと言えば短編作家ではないか、と私は思ってるんですが、そんな作者の長編唯一の成功例がこの作品ではないか、と。 「うずまき」をテーマに連作する、と言う形を取ったこ...

トンネル奇譚

1997年初出 伊藤潤二朝日ソノラマ眠れぬ夜の奇妙な話コミックス <収録短編>長い夢トンネル奇譚銅像浮遊物白砂村血譚 さて今回も絶好調、伊藤潤二。 収録されている5編、どれも甲乙つけがたい出来でハズレ無し。 個人的に一番気に入ったのは、日に...

怪奇カンヅメ

1993~96年初出 伊藤潤二朝日ソノラマ眠れぬ夜の奇妙な話コミックス <収録短編>仲間の家なめくじ少女隣の窓漂着物ご先祖様異常接近怪奇ひきずり兄弟◎次女の恋人怪奇ひきずり兄弟◎降霊会 これまた名作目白押しの短編集。 どれも甲乙つけがたい感...

サイレンの村

1990~92年初出 伊藤潤二朝日ソノラマ眠れぬ夜の奇妙な話コミックス <収録短編>サイレンの村煙草会黴記憶道のない街 名編目白押しの一冊。 閉ざされた日本の田舎町に西洋的な魔神を放り込む、という荒業をやってのけた表題作「サイレンの村」でま...

墓標の町

1993~94初出 伊藤潤二朝日ソノラマハロウィン少女コミック館 <収録短編>肉色の怪墓標の町許しアイスクリームバス なんといっても出色なのはやはり表題作「墓標の町」。 息を引き取った人がその場で石柱化を始め、やがては完全な墓標となる町での...

首吊り気球

1993~94年初出 伊藤潤二朝日ソノラマハロウィン少女コミック館 <収録短編>血玉樹首吊り気球あやつり屋敷 初読時、あまりの奇想とおぞましさに強烈な衝撃をうけたのが表題作「首吊り気球」。 一体何をきっかけにすれば、首を吊ろうと襲って来る気...

羅喉伝

2002年初出 伊藤勢角川書店ドラゴンコミックス 全2巻 近年読んだこの手のマンガの中では一番驚かされた作品。 よりによって角川からこんなド級の伝奇アクションがひっそり発売されていたなんて・・・。 マンガ道、あまりに広大にて険し。 実際のと...

とこよかくりよ

2013年初出 伊藤静講談社モーニングKC 全2巻 一言で言うなら見事化けた、だと思います。 過去作で散見された薄甘い心優しさみたいなものは相変わらず主人公の性格設定に反映されてはいますが、それ以上に、まさかここまで人の心に潜む負の感情みた...

ジュウマン

2014年初出 羽生生純エンターブレインビームコミックス 1巻(全3巻) 長野県にある日忽然と出現した謎の巨大不定形物体。 人や建物を下敷きに、一切の銃器や物理的排除を受けつけず、居座り続けて2年。 何もかもがわからぬまま政府はそれを自然災...

誰かがカッコゥと啼く

2006年初出 イダタツヒコ小学館少年サンデーGXコミックス 全3巻 私にとっては本当に仰天させられた一冊。 過去作が嘘のようだ、とすら思いましたね。 近年では類を見ないほどの強烈な悪夢系ホラー、と言って良いんじゃないでしょうか。 数ある破...

千九人童子ノ件

2010年初出 羽生生純エンターブレインビームコミックス 作者のこれまでの作風からすると、きっとこの作品は異端なのだろうけど、本作、近年出たいわゆるホラー系の作品を圧倒的にぶっちぎって必読の傑作伝奇ホラーだ、と思う次第。 いや、怖かった。 ...

サブリーズ

1995年初出 羽生生純エンターブレインビームコミックス 多分作者、初の長編作品だと思うんですが、これがもう相当狂ってます。 冒頭、 ボケて巨大化した婆さんが村を壊しながら進軍。 なんだこれ、気の触れた円谷プロかよ、なんの絵なんだよ、と思い...

強者大劇場

1993年初出 羽生生純エンターブレインビームコミックス 毎回6ページから12ページの連作短編集。 各話に関連性はありません。 多分作者のデビュー作だと思うんですが、これがもう後の作品すべてをぶっちぎる勢いで本当にばかばかしくて私は大好き。...

おともだち

1983年初版 高野文子綺譚社 <収録短編>盛子さまのひなまつり上海の街角で春ノ波止場デウマレタ鳥ハボビー&ハーシーディビスの計画 やはり突出しているのは「春ノ波止場デウマレタ鳥ハ」でしょうね。 この中編の美しさ、躍動感、叙情性はただごとで...

魔女

2004年初版 五十嵐大介小学館IKKIコミックス 全2巻 今のところ五十嵐大介の作品の中で個人的に一番唸らされたシリーズ。 ただ世間の論調とは違う部分で私は評価していたりします。 自然に対する敬愛と畏怖が作品の根底にはあり、その手の描写で...

バニラスパイダー

2009年初出 阿部洋一講談社マガジンKC 全3巻 オープニング早々、物語の舞台となる町の上空に広大なくもの巣が張られたシーンが出てくるんですが、それを目にしただけでもうあたしゃノックアウト。 作品の世界観を構築するのにあれやこれやと手練手...

カオスノート

2014年初版 吾妻ひでおイーストプレス 「不条理日記」の進化系、とでも言うべきシュールなナンセンスギャグ。 とはいえ、何が進化してるのか、と問われて、これだ、と明確に答えられるものはなし。 なんか進化したような気がする、という。 だって、...

地を這う魚

2009年初版 吾妻ひでお角川書店 作者の若かりし頃を描いた自伝風エッセイ漫画。 失踪日記以降の作品らしい、精緻な作画が映える高品質な一品、と言っていいでしょうね。 とりあえず背景の書き込みは尋常ではないです。 漫画表現でしかあり得ぬ奇異な...

失踪日記

2005年初版 吾妻ひでおイーストプレス 吾妻ひでおの熱心なファンではないので断言は出来ないんですが、やはりこりゃ「化けた」作品だと思うんですね。 自伝というかエッセイみたいなものが創作を凌駕して圧倒的におもしろい、というのはよくあるケース...

ヨコハマ買い出し紀行

1995年初版 芦奈野ひとし講談社アフタヌーンコミックスKC 全14巻 世界のゆるやかな黄昏を描いた終末SF。 昔読んだときの感想はなんだかぱっとしないなあ、でした。 地味にホームドラマでヤマなしオチなしか、と当時は思ったんですが、今回、一...

カリフォルニア物語

1978年初出 吉田秋生小学館フラワーコミックス 全8巻 厳格で、愛情表現の下手な弁護士の父親やエリートの兄に反発し、高校生にしてニューヨークで一人生きていこうとする主人公ヒース及び、その仲間たちの危なっかしい毎日を描いた青春群像劇。 24...

宇宙家族カールビンソン

1985年初出 あさりよしとお徳間書店少年キャプテンコミックス 全13巻 作者の初長編。 タイトルは言わずと知れた宇宙家族ロビンソンのもじり。 掲載紙少年キャプテンの廃刊により、未完のまま終了しているんですが、なんでこれが未完なんだ、と怒り...