BLUE MOON ブルームーン

1986年初出 森脇真末味
小学館プチフラワーコミックス 全5巻

戸籍のない双子の兄弟、英一と英二の放浪生活を描いた連作長編。

世渡りはうまいがアウトローでゆがんだ性格の兄英一と、常識人だが兄に依存する弟との成長物語、とでも言えばよいか。

実は個人的にはあまり好きでないシリーズ。

いかにも作者らしい題材なのだけれど、世間の埒外に生きるしかない兄弟の自立を最終的なテーマにした時点で、なんだか70年代の少女漫画っぽい、とあたしゃ思ってしまった。

傷ついた少年を描くより、意味なく確信的で屈折した人間のでたらめさを、笑いと少しばかりの深刻さで飄々と描いてほしかった。

それじゃあ物語にオチがなくなってしまうのかも知れないけど。

作者が長年描き続けた一連のパターンの作劇にひとつの回答を示した作品と言えるかも知れませんが、できれば別の地点に着地して欲しかったですね。

まあこんな事を言ってるのは私だけかもしれませんが。

結局、双子という特異性に共感できない、ということなのかもしれません。

親しみやすさをあえて排除してるのか、やりたかったことが読者を選んだのか、実際のところはわかりませんけど。

作品自体の質は高いと思います。

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