2016年初出 寺田亜太朗
講談社アフタヌーンKC 1巻(全3巻)

偶発的な事故が原因で、妖魔に取り憑かれる羽目になった4人組の少年の強制的な「人助け」を描いたコメディ調の青春活劇。
オープニング、つかみの既視感は相当強いです。
飛行船らしきものが突然落ちてきて、全員死んでしまうが、その場で妖魔が少年たちの体に入り込んで命をつなぐんですけどね、これって、数多の映画や小説、漫画で使い倒されてきたアイディアだと思うんですね。
ま、大抵の場合は事故を起こすのが宇宙人だったりするんで、妖魔ってのは珍しいかと思うんですけど、それにしたって類型をなぞり過ぎ。
どうしたって「またこのパターンか・・・」とテンションがさがる。
実は古くから存在する妖怪や魔物は文明が進歩したことにより、居場所を失って今は国家に管理されており、人助けを義務付けられている、という設定が現代風で悪くなかっただけに、損をしてる、と思ったりも。
先が読めてしまうんですよね。
なんだかんだで最後には元通りなんだろうなあ、みたいな。
最終巻まで読んでないんでわかんないですけど、さすがに4人も見殺しにはできないでしょうし、なにかあったとしても大きく予想を裏切るほどではないだろう、と。
大前提となる縛りの筋立てが、物語の行末に興味をもてなくしちゃってるんです。
いや、ドラマ作りは非常に達者だと思うんですよ。
驚くほど各話共に読み応えがあったし、盛り上げるのも上手、笑いのセンスもいい。
妖魔の能力を使いこなそうとする少年たちの奮闘が、スキルの向上という形で事件に一石を投じてるのもうまい、と思った。
スポーツ漫画のようにチームワークが発展していく様子が楽しいんですよね。
それだけになにかと惜しい、と感じてしまう。
アフタヌーンらしい漫画だなあ、と微笑ましく思う部分もないわけじゃないんですけど、私の場合、出鼻をくじかれちゃったまま挽回の瞬間を見いだせなかった、ってのが正直なところでしょうか。
これを小粒と言ってしまうのは可哀想過ぎる、と思わなくもないんですが、別の作品で仕切り直すのが得策でしょうね。
3巻で終わってしまった原因がそのあたりにあるのかどうかはわかりませんが。
実力ある人だと思うんで、機会があれば他の作品を読んでみたいと思います。