2021 アメリカ/カナダ
監督 ロベルト・シュベンケ
脚本 エバン・スピリオトポウロス、ジョー・シュラプネル、アナ・ウォーターハウス
G.I.ジョーシリーズに登場するスネークアイズを主役に据えたスピンオフにして、シリーズ第3弾。
そもそも私はG.I.ジョーを見てなくて。
G.I.ジョーって、フィギュアじゃなかったっけ?程度の知識しかない。
フィギュアがなぜ映画に?という点からしてよくわからなかったりはするんですけど、近年のハリウッドはそれなりの話題性があって、客呼べそうなら節操なしになんでもやるからなあ。
おそらく脚本家何人か呼び寄せて無理矢理物語に仕立て上げたんでしょうね。
そこはもう、手にとるように想像がつく。
スピンオフである本作を見て、さらなる確信に変わった部分もあったりなんぞして。
過去作見てないからわかんないですけどね、わからなくても別にいいか、と思える仕上がりなのは確かでして。
とりあえずシリーズ本編見てなくても全然ついていけます。
やってることは限りなく香港カンフー映画に近いというか、家長制を忍者組織の伝統に落とし込んだ時代錯誤なアクション活劇。
きっともう「アメリカ人の思い描く変な日本」ってのは永遠に映画界からなくならないんだろうなあ。
つっこみどころがあまりにも多すぎて、どこから手を付けていいのか見当もつかない、ってのは過去の例を紐解くまでもなく。
だってね、2021年の日本でさ、姫路城に忍者組織が居を構えてるんだよ?(外観は岸和田城らしいけど)
レジャー企業が忍者屋敷のアトラクションを運営するケースだってもうちょっと場所選ぶわ!って話で。
だいたいね、城に非合法な組織暴力を専門とする集団が恒常的に寝起きしてたら、さすがの岸田総理も即刻共謀罪適用で潰しにかかるから。
現代的テクノロジーと、いったいいつの時代なのか見当もつかない古臭いガジェットが同居する作品背景の描写も滅茶苦茶だしなあ。
特に呆れたのが共同浴場のシーン。
これ、江戸時代の風呂屋だから、どう見ても。
挙げ句には太陽石などというドラクエに感化されたかのようなマジックストーンが終盤で登場してくる。
そんなのが昔からあったなら日本は太平洋戦争でアメリカに勝ってるわ、って。
忍者だけでは飽き足らず、ファンタジーまで盛り込もうという腹なのか?と。
アメリカ人的には忍者も秘宝石も同項のくくりなのかよ、と(そうなんだろうなあ)。
脚本の作り込みも甘い。
「変な日本」を考えの外に押しやったとしても、このシナリオ展開ではカタルシス不在だし、復讐の対象が結局最後には曖昧になってしまってる。
バカ映画に限りなく近い、といって過言ではないでしょうね。
もう、いっそのこと笑いに走ってくれたほうがずっと良かった。
そりゃ大コケするわ、と納得の一作。
続編作る気まんまんなラストシーンでしたけどね、何をどう勘違いしたらこの有様で続編作れると思ったのか、ほんと制作陣の頭の中を覗いてみたい。
谷垣健治がアクション監督を努めてるから気になって見たんですけど、さすがの谷垣も阿呆の泥沼に足をすくわれて本領発揮できてないような気がしましたね。
らしいな、と思えても、地雷が多すぎて全部記憶から飛んじゃってたのかもしれませんけどね。
石田えりが一人、気を吐いてましたが和製英語丸出しな発音がどう評価されるか、難しいところだなあ、と思ったり。
ちなみにイコ・ウワイスは完全に浮いてました。
イコ・ウワイスが忍者、ってのは流石に受け入れがたい。
なんか千葉真一がどこかに出てるんじゃないか?という気すらしましたね。
脱力が徒労感に早々と変わる、クソ安い無国籍ファンタジーといったところでしょうか。
もう日本は忍者の商標とって外国で使えないようにしろとすら、と思った。