ザ・ファブル 殺さない殺し屋

2021 日本
監督 江口カン
原作 南勝久

ヤングマガジン連載の人気漫画を映画化したシリーズ第二弾。

「殺さないこと」を強いられる殺し屋が主人公、といういかにも漫画チックな設定にイマイチのれない自分は前作同様、相変わらず存在してるんですけど、それでも冒頭の駐車場におけるカーチェイス、アクションシーンには目を見張りましたね。

CGで合成してる箇所もあるのかもしれませんが、日本映画もここまでやれるようになったのか!と驚かされました。

ちょっと褒め過ぎかもしれませんが、ハリウッドのビッグバジェットなアクション映画と見比べても遜色ない。

岡田准一の機敏な体捌きもさることながら、カーチェイスの落とし所をあの構図でまとめるアイディアに唸らされました。

こういう工夫ってほんとに大事だと思うんですよ、最近はなんでもできちゃうが故、余計に。

スリルに特化する創意という意味ではジョン・ウィックのシリーズにも比肩する出来栄えなのではないか、と。

そこは終盤の、工事用の足場が崩壊していくシーンも同じで。

香港映画が得意としそうなシチュエーションでしたが、これはもう高所恐怖症じゃなくったって足がすくむし、見てて肌が泡立ってくる。

一作目と同じようなアクションシーンをなぞらない向上心は称賛されて然るべきだし、なによりこの命がけな危うさを成立させる技術、画作りが素晴らしい。

それだけに主人公を演じる岡田准一が足場を駆け抜けるシーンにおいて、必ず口元をタートルネックで隠すのが惜しまれましたけどね。

ああ、きっとこの場面からスタントマンに切り替わるんだな、と。

いや、わかんないですけど。

ま、いかに身体能力が高いとは言え、ジャニーズのスターが怪我しちゃったら大金が動くことになるでしょうし、仕方ないことなのかもしれませんけど。

どうあれ、ここまでの完成度を見せつけられちゃったら重箱の隅をつついても仕方がない、という気持ちにはさせられましたね。

私はこの場面に至った段階で十分元は取った気になりました。

また、主人公ファブルと妹役ヨウコのさりげない掛け合いが、前作より切れ味よくクスリと笑えるのもいい。

ファブルの仏頂面に人間味を加味する役割を果たしてるんですよね。

そうか、前作で岡田准一がデクに思えたのは周りとの絡みの問題だったのか、と気づいたり。

ま、佐藤二朗は相変わらずスベってるな、とは思いましたけど。

少し残念だったのは、肝心のエンディングに三すくみな心理戦を持ち込んだことで若干テンションダウンしてしまった点ですが、ここまでやってくれれば続編として十分及第点。

総じて期待を上回ってきた、と言っていいでしょう。

あとは人情味豊かなドラマをどう受け止めるかですが、評価が二分しそうな気が少ししたり。

悪くはないんですけどね。

けど、これをクサいと感じる人は一定数居るように思います。

個人的にはファブルの過去を掘り起こすドラマの筋立てが、二作目にしては早すぎるだろう、と思ったり。

こういうのって、もう何作かエピソードを重ねてからやったほうがいい、と思うんですけど、何作作れるものなのかわからない、ってのもあるでしょうしね、難しいところか。

おおむね一作目のファンも、新規に触れた視聴者も裏切らない内容だと思います。

現時点での日本のアクション映画の中では、トップクラスにランキングされる一作ではないでしょうか。

最初に書いたように、裏社会を舞台にするならもうちょっと現実味の強い方が好みではありますが、想像してた以上に楽しめたのは確かですね。

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