アメリカ 2021
監督 アダム・ウィンガード
脚本 エリック・ピアソン、マックス・ボレンスタイン
モンスターバースシリーズ第4作、らしいんですけど、これが何作目でどういうシリーズなのか、気にしてる人はほとんどいないのでは、と思いますね。
それがこの映画の立ち位置のすべてだという気もする。
もう完全に、かつて少年たちの心を踊らせた東宝昭和ゴジラシリーズと同じ轍を踏んでると思います。
以前も同じようなこと書いた気がしますけどね。
粗製乱造とまでは言いませんけど(巨額の予算をつぎ込んでることですし)、大人が真剣に見るようなものじゃないです。
エンターティメントに徹するといえば聞こえはいいですが、やってることは日本の古い特撮ヒーローもの、戦隊ものと大きく変わらない。
もうね、ゴジラがわざわざ人類の思惑や計略に過敏に反応する点からしてつっこみどころ満載なわけでして。
これじゃあ突然変異な巨大生物じゃなくて、信仰の対象に近いじゃねえかよ、って。
コングと心を通わせる少女が登場してくるくだりにしたってそう。
何十年前から同じ構図を使いまわしてるんだよ、と。
まあ、コングは類人猿?だろうから、意思疎通もケースバイケースかな、と思ったりしなくはないですけど、それにしたってあまりに手垢すぎて辟易。
昔の冒険小説風に地底世界探訪を物語に盛り込んでくる風呂敷の広げ方は嫌いじゃないですが、それでなにかが明らかになるわけでもない、というシナリオ進行がこれまたお粗末で。
飽きないようにあれこれ目先を変えただけで、ストーリーに軸となるものが一切存在しないんですよね。
キャラクターの描き方も恐ろしく薄っぺらい。
特に小栗旬なんて、同じ日本人からしたらひどい扱いの一言。
もうどこからどう見ても知恵の足りない香港映画の端役にしか見えなくて。
お笑い担当で出演したのか?と私は真剣に疑った。
唯一、前作よりマシかな、と思えたのは、コングの動きがトリッキーなおかげでゴジラとのバトルが軽快になってたこと。
キングギドラやラドンとのいざこざって、どちらも鈍重だから、なんだかグラウンドで膠着したまま時間だけが過ぎていく総合格闘技のつまんねえ試合見てるような印象もあったんで、今作の、スタンドでガンガン殴り合う二匹の様子は怪獣映画とは思えぬフットワークの軽さを感じたことは確か。
あ、お互いいい相手に恵まれたね、スイングしてるわ、みたいな。
これ、意図的にやったのなら制作班は優秀だったと思いますね。
でかいからといってスローモーである必要はない、と考えたのならまさにコロンブスの卵だった、と思います。
最後の最後にあの怪獣を登場させる念押しな構成も悪くはない。
決勝戦だと思ってたら、まだ最後に大トリが待ってたか、みたいな。
残念なのはそれ以外に褒めてあげられる点がただの一つもないことなんですけどね、うん。
しかしそれにしてもゴジラシリーズは誰が監督しても見事にチェーン店の味になりますね。
GODZILLA ゴジラ(2014)のギャレス・エドワーズ監督(将来を期待してた監督だったんだよ)の仕上がりにも腰砕けでしたが、アダム・ウィンガードですらこのような有様になっちゃうのか、と。
出てくるものが牛丼って決まってて、毎回盛り方や副菜が違うだけなら、もうアルバイトに調理させておけばいいじゃん、とあたしゃつくづく思いますね。
ま、この雑然と整理されてない映画を、それなりに最後、まとめあげた手腕は評価しますが、そういうことを評価してほしかったわけじゃなんだ、と私が監督ならきっと言う。
ゴジラという唯一無比なアイコンのみで成立してる一作。
まだ続くのか?
そしてやっぱり次も見るのか?俺?